金曜日の仕事を終え、一度家に帰ったのち、柊先生の家へ。
…なんか、こないだやったばっかなのに…。
発情期…って人間にもあるんだろうか。
そんな感じ。
ほら、冬だし、人肌恋しくなるっていうか。
インターホンを押すと出迎えてくれる。
玄関先で
「お疲れさま」
って。
「お邪魔します」
なんとなく苦手な場所だ。
苦手っていうか。
この場所ではやらしいことしかしたことないっていうか。
まぁ、恋人同士が2人きりってなったらそういうもんかもしれないけれど。
すぐにでも変な気分にさせられる。
無理にその思いを振り払って、なんでもないフリをした。
……したつもりなんだけど。
正面に立ちはだかる柊先生が、俺の頬を急に撫でる。
「…っせんせ…」
「……いやらしいこと、考えてる?」
「なっ…!」
「冗談ですよ」
耳元でクスクス笑われ、からかわれたんだとわかった。
けれど、本当に、ちょっと考えてたっていうか。
いまのでまた考えさせられたし。
背を向け奥の部屋の方へと入り込んでいく柊先生の後をついていく。
やばいな、俺、顔赤くなってたりしないかな。
「宮本先生。土曜日じゃなくって金曜日の夜に……って。言ってくれましたよね。
アレ、うれしかったです。求めてくれてるんだなって」
…なに恥ずかしいこと言ってるんですかね、この人は。
別に、ただ少し早めに会おうって思っただけで。
……やっぱり、それって求めてるってことになるのか…。
ため息をついてると、不意に振り返った柊先生にそれを見られてしまう。
「では、おあずけとお仕置き、しましょうか」
笑顔で、宣言。
「…わざわざ言わなくても…」
「言うたびに、宮本先生が反応するからですよ」
…俺に合わせて言ってたのか。
「服、脱いでくれますか」
「え……いきなりですね」
「えぇ。だって、おあずけだったでしょう? その続きですから」
いまいち納得できませんけど。
「…あの、自分で…ですか」
「俺に脱がされたいですか?」
自分で脱ぐ姿を柊先生に見られるってのは、ちょっとばかし抵抗がある。
チラっと目をうかがうと、通じたのか
「じゃあ、特別に」
そう言って、俺の手を取り、時計を外してくれる。
特別ったって、いっつもがっつり脱がせてきたりするくせに。
けれどなんか、今日は違うのか。
上からボタンを一つずつ丁寧に外されていく。
上半身の衣類をすべて剥がされてしまうと、やたら柊先生の視線が突き刺さって痛いくらいだ。
柊先生の手が、また俺の頬を撫でる。
「緊張してますか…? 久しぶりですもんね、ココでするの」
柊先生の部屋。
こないだ来たときも、久しぶりでちょっと緊張した。
玄関先で、あんな風に中途半端に手を出されて終わって。
今日は…?
頬を撫でていた指先が、俺の口の中に入り込む。
舌を撫でられ、この間の感覚がよぎった。
息が少し荒くなるのが自分でもわかる。
「もう少し、後ろ行こうか。壁がないと、立ってられなくなりそうだもんね」
優しくそう言って、押されるがままに後ずさると、背中が壁へとぶつかった。
「出来る…?」
柊先生の指が舌を撫で、俺にしゃぶらせようと要求する。
「ンっ…」
指に舌を絡めて、含んで。
ときたま、柊先生が抜いたりするせいで、濡れた音が耳についた。
「っっ…んっ…」
「上手だねぇ…。ベルト、自分で外して…?」
口の中に指を突っ込まれたままで、反論も出来ず……する気があったわけでもないんだけど。
ベルトを外すと、柊先生がやっと俺の口から指を引き抜いてくれた。
「ズボンと下着、下ろして…」
「っ……俺っ…そんな…」
「自分で、出来ないの?」
「出来ないってわけじゃ…ないんですけど…」
恥ずかしいだけですけど。
そんな改めて自分でとか。
ジッと見られてるし。
視線から逃れるようにして、顔を背けたまま、ズボンのチャックを下ろしていく。
ベルトの重みで、すぐさま落下。
あーあ…。
…パンツも、下ろさないといけないんだろうか。
顔をあげ、柊先生の表情に目を向けると、にっこり微笑んで。
「どうぞ」
って。
どうぞって?
あろうことか、柊先生はしゃがみこんで俺の股間を正面から捕らえる。
いや、そんな至近距離で見るもんじゃないでしょう?
…口で、してくれるつもりなんだろうか。
「…芳春…見せてよ」
そう頼まれてしまうと断れないのは、恋人だからなのか先輩だからなのか。
しょうがなく、パンツを下ろしていく。
太ももまで下げると、あとは柊先生が膝下まで引きずりおろしてくれて、促されるがままに片足を引き抜いた。
じっくりと見られたまま、柊先生が奥の蕾を指先で撫でる。
「っ…あ…っ」
さっき濡らした指…。
そのまま入れる気なんだろうか。
「ヒクついてる…」
いちいち言わなくていいのに。
何度も入り口を行き来する指先に、じれったくて腰が揺れた。
「はぁっ…っ…」
「やる気、出てきた…?」
「え…」
「いきなりだったから。どうかなって思って」
本当は、この部屋に来た時点ですでにやる気でした…なんて。
そりゃ、もしかしたら先にまた飲んだりするだろうかなんて思ったりもしたけれど。
「…蜜…溢れてきてるよ」
俺ですら見たことのないくらいの至近距離で股間のモノを観察されて、溢れ出てきた蜜をもう片方の手の指が拭っていく。
「ぁっっ…んっ!」
後ろの蕾…入り口を撫でられて。
亀頭を撫でられて。
あ…入り口と出口だ…なんて思ってる場合じゃない。
両方、出口だっての。
とか自分で突っ込んでる場合でもない。
ぬるぬるする。
じれったい。
柊先生の指の動きに合わせるようにして、腰がくねる。
恥ずかしいし。
早く、入れてくれないと。
言うまで…してくれないよな、この人。
わかってる。
「っ…せんせ…くださ…っ…」
「…なに?」
俺のをじっくりと見ていた柊先生が、下から俺を見上げてくる。
聞き返さなくていいのに。
「っ…入れて…くださぃ…っ」
「…よく出来ました」
そう言った直後、指先が入り込む。
「んーっ!!! あっ…ぁあっ!」
ズプズプと奥まで入り込んでいく感覚に、膝が折れそうになった。
なんとか持ちこたえるけれど、気持ちよくてたまらない。
「ぁあっ! んっ…んぅ…っ」
…自分で指突っ込んだときとは全然違う。
ただ、入れられただけ…入ってるだけなのに、ゾクゾクする。
俺の股間に触れていた指先を離してしまい、今度は後ろだけ。
指先が中を探る。
「ンっ! ぁっ…あっ」
「ちゃんと立っててくださいね…。
せっかくなんで、要望にこたえまして、痛くないお仕置き、しようかなって思うんですよね」
なに。
確かにお仕置きするなら痛くないやつをとは言いましたけど。
焦らしプレイですか?
それはそれでキツい。
「なに…するっ…」
「大丈夫ですよ…。ちゃんとイかせてあげますから。
芳春は、おあずけを待てないくらいエロい体だからねぇ。俺の指1本で、3回、イけたらあげましょうか」
3回。
1回ならともかく3回も。
指1本で?
そりゃ…イけるかもしれないけれど、柊先生次第だ。
「…俺…っ…あっ…」
「我慢してると、後が辛いですよ」
指が、前立腺の辺りをかすめ、体が跳ねる。
「ひぁっ! んっ!」
考えてる暇はないというか。
先生の言う通り。とっととイった方がいいかもしれない。
いいのか?
考えまとまらないし。
気持ちいい。
「はぁっ…あっ…!! ぅンっ!…っ…んっ…んぅんんっ!!!」
柊先生に攻められるがまま、指1本でイかされてしまう。
「もうイっちゃったの?」
あいかわらずしゃがんだまま、俺のから溢れ出した精液に視線を感じた。
「っ…俺…っ」
「聞いてる? イった?」
…いや、わかるだろう?
それでも、下からするどい視線で、俺に答えを求める。
「……はぃ…」
頷いて示すと、クスリと笑う姿。
指を引き抜いて、柊先生が立ち上がった。
なに…。
「勝手に、イったの?」
今度は耳元で、静かにそう言い放つ。
「っ…だって…っ…3回イかないととか、言うから…っ」
「急いでとりあず1回。勝手に?」
勝手にって。
「あの…っ…考えがまとまらなくて…っ。でも、早くイっとこうと思って…っ」
つい言い分けがましくそう言ってしまうと、柊先生は俺を見てにっこり笑った。
え…なに、この空気。
……そういえば、『イくときは言うのが礼儀』だとか、生徒が言ってたような…。
いや、しかし。
前にも言わずにイったことなんて、何回もある…と思う。
けど…。
「…すいません…」
結局、この空気に耐えれず、俺の方から謝ってしまう。
俺だって、もし急になにも言われずに中出しされたらたぶん、嫌な気分になるだろうし。
「次は、ちゃんと言える…?」
言うとか、恥ずかしいんですけど。
…それがわかっててしてそうだから、なにも言えませんけれど。
頷くと、もう一度、指先が足の付け根を這う。
ヒクついてしまう蕾を示すよう突いた。
「あ…っ…」
また、入れてって言うべきなんだろうか。
指先が、入り口を何度も行き来して体がビクついた。
「んっ! くっ…ぅん…」
さっき出してしまった精液やらがそこまで垂れて、柊先生の指がぬるぬるとすべる。
「ぁっ…あっ…ぃれ…てっ」
我慢できずにそう言ってしまうと、
「はい」
笑顔を見せて、指を押し入れてきた。
「くっ…んぅんっ!!」
入り込んでくる感触ってのは全然、慣れられない。
座り込んでしまいそうで、慌てて柊先生の背中に手を回ししがみついた。
とっさにとってしまった行動に対して、柊先生が耳元でクスっと笑う。
恥ずかしくて回した手をまた元に戻そうとするけれど、そのままの体制で、指が中をかき回してくるもんだから、しがみついてないと…。
「ひぁっんっ! あっ! ぁあっ…」
「…さっきより感じてる? …かわいいね、芳春…」
耳元でそんな…。
「あっ…せんせっ…ぁあっ」
「イけそう…?」
この人は、本当に意地悪だ。
一度、指でイかされて。
似た刺激で2度目もイけだなんて、難しい。
すごい気持ちいいのに、イくには物足りない。
「あっ…すいませっっ、んっ…もっとっ…っ」
「…そう。じゃ、もうちょっと激しくしようか…」
そう言うと、強めに前立腺部分を指先が押さえつける。
「ひぁあっ!!」
その衝撃に耐えれず、その場に座り込んでしまい、同時に柊先生の指先が引き抜かれた。
「ぁっ…」
「ダメでしょう…? ちゃんと立ってないと」
すぐに立ち上がろうとするけれど、足に力が入らない。
「あ…」
「どうしました?」
「俺…っ……」
腰が。
「すみません…。立てな……」
「…そう。腰、くだけちゃった?」
しゃがみこんだ柊先生が俺の腰を引き寄せ、背もたれにしていた壁が遠ざかり、ほぼ寝転がってしまう。
両足を大きく開かされ、さっきよりも恥ずかしい格好。
自分からもよく見えるし。
「やめ……」
「…欲しそう…」
場所を示すよう柊先生の指先が、後ろの秘部を撫でる。
欲しい。
そう考えてしまうと、ついソコが締まったり、ヒクつくのが自分でも理解できた。
「ぁ……っ…」
入りそうで入らない感触に体が震えてしまう。
「せん…せ…っ。ください…っ」
今日、すでに3回もねだってしまっている。
最悪だ。
「宮本先生、ちょっと恥じらい減ってます?」
指摘され、自分があまりにもあっさりと欲しがってしまったことに羞恥心を感じた。
思えば…いくらこの人が言わなきゃしないからって、俺言いすぎだ。
「っそんなこと…ないです…っ。恥ずかしいですよ」
「そう…? あまりにもあっさりそういうこと言うようになったから」
「言わないと…しないじゃないですか…っ」
「よくご存知で。じゃあ、して欲しいことは言ってくださいね」
そう言うと、ゆっくりと指先が入り込む。
「ぁっあぁあ!! くっ」
入り込んだ指先が……奥まで。
奥の方まで来て、それだけ。
動かしてくれない。
あぁ、そういうこと?
して欲しいことは言えって?
柊先生を見上げると、少し企むような表情をしていた。
自分の腰が揺れてしまう。
「ぁっ…んっ! んっ」
「かわいいですねぇ。もっと、自分で揺らして…」
そんな言葉通りに動く気はないのだが、止められず、自ら足を踏みしめ腰を振ると、中の指が気持ちよく内壁を刺激する。
「ぁっあっっ…ぅンっ! はぁっんっ!」
「…俺の指…気持ちイイ…?」
耳元で聞かれ、羞恥心に駆られた。
まるで、柊先生の指を借りて一人Hしているみたいで。
「んっ…ぁっ」
「教えて」
この人にそう聞かれると、どうしても答えなきゃいけないような気になってしまうから不思議だ。
「あ…っぃいっ…んっ! あっ…ンっ!」
「ホントに…Hな体になりましたね…」
Hな体って。
その物言いについ顔をあげると柊先生と目があった。
早く、動かしてくれればいいのに。
もっと入れてくれればいいのに。
こんな1本じゃ足りない。
…一度、そう感じてしまうともう絶対に厳しいし。
「ぁっ…せんせ…っ…もうっ…動かして…ください」
「こう…?」
指先が、柊先生の意思で動かされる。
自分が腰を振って感じるのとはわけが違う。
気持ちいい。
その動きを増大させたくて、ついまた腰が動く。
「くっ! ぁっあっんっ…ぁあっ!! ぃっ…はぁっ…ぃきそ…っ」
いきそう。
けれど、それをぎりぎり止められているような感覚。
もどかしくて、つい自分のを自分で擦りたくなった。
指だけで…って言われてるけど。
自分でする分にはかまわないんだろうか。
そっと、自分のを掴み、柊先生の表情を伺う。
「せんせ…っあっ…俺っ…」
「……いいですよ」
あ、いいんだ。
許されたことにほっとして、自分のを擦り上げる。
直接的な刺激が気持ちよくて、すぐ限界がきた。
「ぃくっ…あっ…んっ…もぉっ…あっあぁああっ!!」
イってしまい、お互いの手がゆっくりと止まる。
柊先生は、俺の頭を撫でて、おでこにキスをした。
「…気持ちよかった?」
「……は…い」
「珍しいね。芳春が、自分で擦りあげてイくの」
「…っ!!」
咄嗟の判断とはいえ、指を入れられたまま、自ら自分のを擦ってイくなんて。
どんだけイくことに必死なんだ、俺は。
恥ずかしいやつめ。
いや、後ろだけでイクのも恥ずかしいんだけれど。
「違…っ俺…っ」
「かわいかったですよ」
そんなじっくり見てたんだろうか。
「違…」
「なにが違うの?」
自分で言っててよくわからなくなってきた。
「先生…俺、もう無理っぽいです…」
「無理?」
無理だろう。
これは言っておかないと、またはじめられそうで。
「さっきのが、ギリギリで…。また指1本とか…たぶん…」
「……そう」
あれ。
期待はずれ…とか思ってるだろうか。
「っだって…すみませんっ。俺ももういい歳なんで、そんな何度もイくわけには…っ」
「えぇ、大丈夫です。……じゃあ、別のお仕置きに変更しましょうね」
笑顔で。
そう言う柊先生に背筋がゾクっとした。
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