「はぁ……つーかお前、ペース速すぎ」 「ゆっくり愛撫されたかったんだ?」 「そうじゃねぇけど……」 頭は働かないし、体もいっぱいいっぱいだ。 「だいたい速いのは凍也だよ。ナカ、ちょっと押さえて撫でただけなのにこんだけ感じてさ」 「お前が強くするから……!」 「してないよ。強いと凍也、うまく感じてくれないし。ちゃんと感じてたってことはそういうことじゃん」 それは……そうだけど。 「亀頭だって優しく撫でただけ」 「全然……優しくねぇ」 「イッたばっかで、敏感になっちゃってるんじゃない?」 それはあり得る。 「つーかイッたばっかのちんこ撫でる時点で、優しくねぇだろ」 「ははっ。そっか。ごめんごめん」 全然、反省なんてしてないみたいに謝ったかと思うと、覆いかぶさってきた悠貴が俺の耳元にキスをする。 「でも凍也……そういうの、好きだよね」 好き……だけど。 あまりにも熱っぽく言ってくるもんだから、ふざけてた空気感が一変する。 こいつは、そういう雰囲気を作るのがうまいのかもしれない。 言い返す気が失せた俺は、とりあえず横を向いたまま、 「も……力、はいんない……」 それだけ伝えた。 「わかってる」 「休憩、させてくんないと……」 おかしくなる。 そう言わなくても、悠貴ならもちろん、わかってるだろう。 「続き、しよっか」 ダメ。 無理。 頭の片隅でそう思うけど、悠貴は別に恋人ってわけでもないし、俺だけイかせてもらって終わりってわけにはいかない。 悠貴は体を起こすと、右向きに寝転がる俺の左足を抱える。 「ん……や……」 「やじゃないでしょ。俺、まだ入れてないし。騎乗位は無理そうだから、このまま……ね。なんていうんだっけ。松葉崩し?」 プールサイドについたままの右足を跨いで、さっきまで指が入っていた箇所に、亀頭を押し当ててきた。 悠貴のソレは硬くなっていて、当然だけどやる気満々だ。 「あ……待って……」 「本当に力、抜けちゃってるね。この体位、女だと奥まで入るらしいけど、男だとどうだろう」 知らない。 そう告げる間もなく押し当てられた亀頭が入り込む。 「あぁっ……んぅうっ……ああっ! あんんっ!」 指とは違って大きくて熱くて、気持ちいいのが、ゆっくりナカを擦りながら、奥へと移動していく。 「くぅうっ! ああっ! あっ、あぁあっ!」 さっきイッたし、よくわからないまま精液だって零したのに、また出してしまう。 「あーあ……まだ、全部入れてないんだけどな。力抜けて我慢できなくなった? 全部、入れるよ?」 首を横に振る余裕すらなくて、ただ、泣きながら自分の指を噛む。 「んぅっ、んっ……ああっ……ん! ぁんんんっ!」 そのまま噛んでいたいのに、悠貴に指を取り上げられる。 悠貴は最奥まで到達したモノで、ナカをトントン小突いた。 「ああっ! あっ! あんっ……ぁあっ……やぁっ、あっ……ゃんっ、んっ」 「凍也の奥……すごい、うねって、ぐちゅぐちゅで、たまんない……」 熱っぽくそう答えながら、今度は探るみたいに腰を密着させたまま回される。 「あぁあっ……それぇ……ああっ……あん……あぁ……いくぅ……」 「ああ……これ、好きだもんね」 好き。 好き。 気持ちいい。 「はぁっ……あぁあっ……あんっ……あっ、あん、あぁんぅっ!」 「すごいな……こんなたくさん、あんあん声出しちゃって……」 悠貴の言ってることはなんとなく理解出来たけど、抑えられなかった。 恥ずかしいのに、何度でも、あんあんエロ動画みたいにやらしく喘いでしまう。 「ああっ、んぅっ……あんっ、ああっ……あんぅ……いっちゃ……あぁああっ!」 「うん……いっちゃった? 悪いけどやめないよ?」 わかってる。 俺だって、気を使ってないから、こんなにも何度だって先にイッてるわけだし。 それでも一応、少しだけ、感じすぎる場所を避けるみたいに、ただ緩やかに出入りしてくれる。 気ぃ、使いやがって。 ちょっとむかつくけど、さすがに助かる。 ただ、それでもいまはナカのすべてが敏感で、どうしようもないんだけど。 ゆっくり何度も出入りされると、妙な感覚が押し寄せてきた。 「あっ……ああっ、んっ……悠貴ぃ……」 「なに? じれったい? 弱くして欲しいんじゃなかった?」 「はぁっ、あっ……んん、んっ、いい……いいけどぉ……」 「いいけど?」 なんだろう、この感覚。 俺は脱力状態で、悠貴に出入りされて。 なんていうか……。 「はぁ……あっ……使われてる、みたい……はぁっ……あっ、あぁあっ!」 「気ぃ使われてる感じする?」 「そっちじゃ……」 「ああ……なるほどね」 なんとなく俺の言いたいことは伝わってくれたらしい。 気だって、それなりに使われてるんだろうけど。 同時に、いまは俺を感じさせようって意志が感じられなくて、ただ突っ込まれているみたいで。 俺の体、いいように使われているみたい。 「……あえて避けてあげてるんだけど?」 「ん……わかって、はぁ……ぅん……でも……あっ、あっ、んぅ……」 悠貴は手で俺の前髪をきゅっと掴んで、自分の方に向かせた。 「それで? わかってるのに、そういう風に扱われてる気になって……興奮してんだ?」 ぼやける視界で、悠貴を見つめる。 別に、十分感じるし、焦らされているとも思わない。 避けてくれているのも理解してる。 たぶん、優しさだ。 ただ、たとえ勘違いでも、悠貴にいいように扱われてる感じが、たまらなくイイ。 「はぁっ、ああっ……あっ……あぁああっ!」 「はぁ……またイッた? ホント……どれだけドMなの?」 「はぁっ、はぁっ……あんっ、んっ……ちが……ああっ!」 「違う? どこが? 恥ずかしいことたくさんさせられて、いいようにアナ使われて、気持ちよくなっちゃってんのに?」 ああ、そうか。 Mだから、気持ちいいんだ? 俺も悠貴みたいに、サドっぽくチクチク相手を攻めたりするのが好きだけど。 そもそもされるのが好きだから、するのも好きなんだ。 悠貴は、俺が好きなことをしてくれる。 悠貴は悠貴で、それを楽しんでいる。 体の相性……というより、性癖の一致か。 サドっぽいことされて感じるとか、恥ずかしいのにめちゃくちゃゾクゾクする。 「悠貴ぃ……ああっ……だめ、もぉ……はぁっ、あぁああっ……おかしく、なる……!」 「うん……おかしく、なりたいね?」 なりたい。 頷くと、悠貴は俺にキスをして、舌を絡めてくれた。 「んぅっ、んんっ!」 送り込まれた唾液を飲み込み、俺からも舌を絡める。 「はぁっ、んっ、んぅっ、はぁっ!」 「大丈夫……もう十分、おかしくなってるよ」 おかしくなってるのに。 それでいて、大丈夫だなんて、それこそおかしいのに、妙な安堵感を得る。 本当に、どうにかなってしまったみたい。 「ああっ、あっ……あんっ……あぁああっ!」 「あーあ……またイッてる。気持ちいいね?」 頷くと、涙で歪む視界の中、企むように笑みを漏らす悠貴が映り込んできた。 「俺も気持ちいいよ。射精した後の凍也んナカ、すっごいビクビクしてるし。ねぇ、凍也……。いつも凍也がおかしくなりそうで、遠慮してたんだけど……」 悠貴の目を見て、その先の言葉を促す。 「中出し、していい?」 悠貴は、あからさまに興奮した表情で俺を見下ろしていた。 「あ……」 「ああ……さっきまで力入んなくなってたのに、強張っちゃったね」 瞬時に強張ってしまった俺の体を落ち着かせたいのか、悠貴は腰の動きを止めると、わき腹からお腹にかけて、指先で撫で上げる。 「んんっ……はぁっ……あ……」 ゾクゾクすると同時に、心地よくて、気持ちよくて、不安なのに睡魔にも似た感覚に襲われた。 また体に力が入らなくなる。 でもいま伝えないと、また悠貴が動き出したら、きっとうまくしゃべれない。 「悠貴……はぁ……んん、待って……」 「なにを待つ?」 「中、出し……ん、はぁっ……まだ、ん……」 「じゃあ、いつさせてくれるの?」 腹を撫でていた悠貴の指が、今度は俺の性器に触れる。 触れるか触れないかくらい優しくて、優しすぎて逆にくすぐったいような感覚に身震いしてしまう。 「ああっ……あぁんぅ……んぅ……んっ!」 「なに……またイきそうになってんの? かわいー……」 うるさい。 黙れ。 ああ、それより気持ちいい。 「敏感になってる? カウパーいっぱい溢れてるけど。もう白いの出せない?」 促すみたいに亀頭を撫でられると、我慢する余裕もなくまた吐き出してしまっていた。 「ひぁあっっ! んんぅっ、んっ!」 「ああ……薄いし少ないけど、ちゃんと出せるじゃん。またそうやって、ナカびくびくさせてさ。動いてないのに、俺も、いっちゃいそう。いっちゃうよ?」 「はぁ……あ……中出し、すんの……?」 「んー……いや? 怖い?」 顔を背けながら小さく頷くと、覆いかぶさるようにして、悠貴が俺の耳にキスをしてきた。 たぶん、こいつはキスが好きなんだろう。 俺を落ち着かせるために、してるのかもしんないけど。 ナカに入っていた悠貴のが、わずかだけどずれたせいで、小さく体が跳ね上がる。 「んぅっ……ん!」 「怖いこと、したくない?」 悠貴の指が口内に入り込んできて、俺の舌を優しく撫でてきた。 ああ、ゾクゾクする。 ゾクゾクして、頭が溶かされて、その気にさせられる。 気づくと俺は、頷いていた。 「ん……それってどっち? したくないってこと? したいってこと?」 したい。 伝えられずにいると、 「……したい?」 もう一度聞かれて、俺はまた頷く。 「うん……したいね」 優しい口調でそう呟くと、悠貴はゆっくり腰を揺らし始めた。 「ひぁっ! あっ……あんっ、んっ!」 「ん……怖いことしたいのに、緊張してるみたい。でももう、全身から力、抜けちゃってるよね」 体を強張らせる余裕もなくて、俺はただ、舌を撫でていた悠貴の手をぎゅっと掴んだ。 「はぁっ、あっ……あぁあっ、あんっ!」 徐々に速度をあげられて、悠貴が本気でイこうとしていることを察する。 怖いのか、気持ちいいのか、よくわかんないけど頭ん中ぐちゃぐちゃで、ただすごく興奮しているのはたしかだった。 「あぁあっ……悠貴ぃっ……んぅんっ……やぅっ! あっ」 「うん……怖いね。ちゃんと、出すときは言うから……」 怖い。 どう身構えたらいいんだろう。 そもそも力なんて入らないし、身構えらんないんだけど、悠貴の手を掴み直す。 しっかり握っていたいのに、うまく握れない。 それに気づいてか、悠貴の方から強く手を握ってくれた。 「大丈夫……。気持ちいいとこ、たくさん突いて、一緒にイかせてあげる」 一緒にって、もうイきそうだし、我慢できそうにない。 「あぁっ、あんっ、だめ……いくっ……やぁっ、ああっ、いくっ、いくぅっ!」 「ああ……我慢できないんだ? いいよ、俺もいくから。じゃあ……ナカで出しちゃうね?」 イく。 出される。 ふたつのことを一度に考えるのは、いまの頭じゃ難しい。 ただ、それでもなんとか理解して頷くと、悠貴は激しくナカを突き上げて、一番奥まで入り込んできた。 「ああっ、あっ! あぁああああっ!」 激しい律動に耐え切れず、俺が射精すると同時に、ナカで悠貴のがビクビク震えて、なにかが入り込んできた。 「あぁあ……あっ、んっ……待って……あっ、なか……!」 「待ってって……いまさら待てないよ。もう出しちゃった」 「はいって……ぁあっ……こんな、おく……知らな……あぅっ……んぅんん……!」 悠貴のが入ってるだけでもいっぱいいっぱいなのに、さらに奥へと精液が注がれていく。 「だめっ……もぉ……ぁっ、ああ……んっ」 「ねぇ…なんでそんなやらしー反応すんの?」 ぼやける視界で悠貴を見上げる。 悠貴は、イったばっかだってのに、すっきりした感じでもなく、どこか興奮しているように見えた。 入ったまま、抜けないようにして腰を回される。 「んぅんんっ! それ……ゃあう……!」 「凍也の好きなやつだもんね。どうせならもっと硬い状態で掻き回してあげたいけど。また、おかしくなっちゃう?」 「あぁあっ、あっ……あっ……んぅんんっ!」 射精した直後にナカを掻き回されたせいか、気づくとまた漏らしてた。 「ああ……全部出したと思ってたのに、残ってたんだ?」 引かれる。 一瞬、そう思ったけど、ナカにある悠貴のが大きくなるのを感じて、考えを改めた。 「はぁっ、あっ……なんれ……!」 「凍也はイキまくってるけど、俺はまだ、1回しかイッてないし」 だからって、抜かずにもう1回なんて出来るはずがない。 そんな俺の考えを告げる間もなく、悠貴がまた腰を揺らし始める。 「あっ、あっ! もぉ……だめっ……」 「泣きそう……泣いてるの?」 「んぅっ……んっ……ひっ……んくっ……やぁっ、あぁあっ……いったっ……いったのにっ」 みっともない。 頭の片隅でそう自分を客観視するけど、ポロポロと涙が零れてきた。 「ごめんごめん。ゆっくりするから。まだナカ、ビクついてるね……怖いのに、よくがんばったね?」 ああ、バカにされてる。 わかってるのに、小さく頷くと、悠貴はよしよしと頭を撫でてくれた。 「悠貴……っ」 「ん……ゆっくり抜いて……入れて……はぁ……すごい。精液出しすぎちゃったせいで、ぐちゃぐちゃだ」 ぐちゃぐちゃになっているナカを、悠貴がゆっくり時間をかけるようにして出入りしていく。 「はぁっ……はぁあっ……あっ……ん……それ……」 「うん……凍也、ゆっくりピストンされんの好きだよね。こう……ねちっこいやつ」 ああ、頭がぼーっとする。 空っぽになりかけているのかもしれない。 悠貴のゆっくりした動きに合わせて呼吸を整えると、下半身から全身にかけてゾクゾクするような心地よさが駆け巡った。 「あぁっ、あっ……あんっ……ん……あぁあっ!」 「ん……また、少し精液、出ちゃったね」 「んぅん……やぁう……きもちい……ああっ……あっ……ぁん……ん」 「やっぱり……蕩けてる凍也もいいな」 ぼんやりして、気持ちよすぎて、ウトウトしてくる。 「はぁっ……ああっ……ん……はぁ……寝そぉ……」 「いいよ。このままゆるーく起こさないようにセックスしてあげる。使っていいよね?」 「あっ……んぅん……ん……いい、けど……はぁ……あ……置いて、かない?」 「置いてかないよ。そんな心配してんだ? 大丈夫」 疲れたからか、気持ちいいからか、寝そうなのか、意識が飛びそうなのか。 わからないけど保てない。 悠貴の声も遠いし、とにかく気持ちいい。 「はぁっ……んぅ……ん……あ……ん……んぅ……」 目をつぶると、そのまま睡魔に飲み込まれるようにして、意識を手離した。 次に俺が目を覚ましたのは、もう一度、中出しをされたときだった。 「んっ……んぅっ……あっ」 「ああ……起きちゃった?」 「起こさず……すんじゃなかったのかよ……」 「そのつもりだったけど、さすがに中出ししたら起きちゃうか」 今度こそ、悠貴が自身のモノを引き抜いていく。 その感触に、俺は小さく身震いした。 「はぁ……ってかさ。寝てて無反応のヤツで抜ける? 反応悪いとみじめな感じしねぇ?」 「抜けるよ。抜けたし。寝てるとこ犯すのも結構、興奮した。寝てて反応悪いのは、起きてて反応悪いのとは別ものだし、みじめって感じとも違うだろ」 たしかに、起きてる状態で、どんだけ愛撫しても反応が悪いのとは、ちょっと違うのかもしれない。 「それに……反応悪くないしね」 「はぁ? なにそれ」 「寝息みたいに小さく漏れる声もかわいかったし、体もビクついたり脈打ったりして、無意識なのにちゃんと反応してた」 無意識で寝返り打てるくらいだし、そういうこともあるのか。 「変なこと言ったり、したりしてない?」 「してないよ。マジで疲れてたんだろうね。夢見る余裕もなかったんじゃない?」 「ふぅん……」 「多少喘いで、射精はしてたけど」 「してたんじゃん」 「それは、変なことじゃないし」 疲れはまだ取れていない。 それでも、心地よいだるさで、満足感はあった。 ゆっくり体を起こすと、花火の後始末をするときに使ったホースから水を出し、自分の腹や足にかけていく。 「つめた……」 火照った体にはちょうどいい。 「お前の精液、垂れてくんだけど」 「たくさん出しちゃったからね。掻き出そうか」 「いいよ。出てきたやつだけ洗い流す。あとはまた考えるし」 変な感触だけど、まあいい。 適当に洗い流す。 ちゃんとしないと、あとで腹が痛くなるとか言うけど、それもあとで考えよう。 「プールサイドでよかったかもなー。水あるし」 「てか、プールサイドで花火やろうなんて普通、考えない気するけど」 悠貴は、飛び込み台に腰掛けながら、水を浴びる俺を見て呟いた。 「中庭でやろうとしたら、先生に注意されてさー。プールサイド勧められたんだよ」 「普通こんな場所、勧める? そんなこと言う先生――」 智巳先生くらいかもしれない。 「……まあ、いいけど」 悠貴は、その先生が誰なのか聞かなかった。 だから俺も言わないでおいた。 もう、感づいてるかもしれないけど。 たぶん、俺たちはあえて、その名前を出さなかった。 服を着て、プールサイドにも、適当に水を流しておく。 「あれ、花火残ってんの?」 そう悠貴がすぐ近くに置いてあったビニール袋を手に取る。 「少し。遅い時間までやってっと、さすがに見回り来そうだし」 「線香花火じゃん。こんな小さい火で、見回り来ないよ」 「セックスしてても、誰も来なかったしな。……たぶんだけど」 「なんで、こんな少しだけ残してんの」 なんで? なんでだろう。 使い終わった花火の処理は功に任せた。 一緒に、持って帰ってもらってもよかったのに。 悠貴の言う通り、こんな小さな火で、見回りなんて来ないだろ。 やると思った? 悠貴と? なに考えてんの、俺。 俺が買った花火だから、置いといただけ。 「悠貴、来るタイミングだったし……線香花火、人気ねぇから?」 「凍也たちのグループに混ざる気はないけど、別に線香花火数本やる時間くらい待つよ。こんな少しだけ取っといてもしかたないじゃん」 それじゃあやろうとか、わざわざ言うまでもなく、悠貴は俺のポケットからライター掴むと、2本の線香花火に火をつけた。 そのうち、一本を俺に手渡す。 「……悠貴とセックス以外のことすんの、変な感じ」 「まあね」 それ以上、とくに話すことなんてない。 花火を見てキレイだとか、かわいいとか、こいつとはしゃぐ感じでもないし。 情緒に浸る雰囲気でもない。 少し前まで、あんな風に体を重ねていたのに、近くで花火をすることの方が慣れなくて、違和感を覚えた。 「俺は好きだよ、線香花火」 悠貴が一言、呟く。 静かで、小さくて、派手さはないし短いけど。 もし、ここに残っている花火が線香花火じゃなかったら、こうしてなかったかもしれない。 「俺も……好き」 元々嫌いじゃないけど。 いま、好きになった気がした。 |
『深山悠貴×真乃凍也』
小説(別窓)カウンター160000番v 『セフレ時代(フリー時代)の2人』 『受け経験値の低い凍也から、学校の至る所で悠貴とのSなプレイで開発されていき、恥ずかしがる凍也や快楽や悠貴を求めてしまう凍也』といったリクエストをいただきました! というわけで1年の9月、開発途中の一場面、まだまだ受け慣れてない凍也を。至る所でやらせようかと思ったのですが、至る所で何度かやった前提での一か所になっております。少しS度低めになってしまっているかもです……。 また、凍也の場合「Hしたら好きになっちゃう」ではなく「H以外のことしたら好きになっちゃうかも」といったニュアンスで、最後、しっとり目に。 みんごすさんへささぐvvリクエストどうもありがとうございました♪ |