9月半ば。
 安くなっていた売れ残りの花火を手に、凪、霞夜、功、俺の4人で、夜8時を過ぎた頃、学校の中庭を訪れた。
「いいのかな。忍び込んだりして」
 真面目な功がそわそわした様子で辺りを見渡す。
「駄目って言われてねぇし、在校生だろ」
「そうそう、大丈夫だって」
 俺と凪でなんとか功をなだめ、持っていたバケツに水を入れようとしたときだった。
「なにするつもり?」
 そう声をかけてきたのは、俺たち1年の数学担当、智巳先生。
「花火するつもりなんだけど、ここじゃダメ?」
 凪が尋ねると、智巳先生はちらっと中庭を見渡す。
「一応、芝生とか花壇とかあるしなー。運動場は……あー、なんかクラブに貸し出してんだっけ」
 学校の卒業生だか近くの社会人だかよく知らないけど、生徒の部活動が終わったくらいの時間に、グラウンドを貸すこともあるらしい。
 どうやら今日はその日で、運動場では大人たちがサッカーをしていた。
「隅の方は、わりと暗そうだけど、中庭の方が気楽じゃねって話になってさ」
 俺がそう告げると、智巳先生は、
「ここでやるくらいなら、プールサイドの方が安全かもな」
 そう提案してくれた。
「プールサイド?」
「めちゃくちゃ走り回ったりは出来ないけど、なんか燃えるってことはないだろ。水道もあるし。あ、泳ぐのは禁止な」
「鍵あいてんの?」
「あいてないけど、お前ら門くらい越えれるだろ」
 プールサイドの周りは、塀と更衣室と倉庫と、フェンスで区切られている。
 その倉庫の隣には小さい門があった。
 業者とかが入るための門なのかよくわかんねぇけど、フェンスに比べたらだいぶ低い。
 フェンスも、別に越えられないことないけど。
「後片付けはちゃんとすること。花火、プールに入れんなよ。明日、痕跡残ってたら、今後いろいろ厳しくすっから」
「はーい」
 俺と凪で返事をしておく。
 功は少し戸惑いながらも頭を下げていた。
 霞夜はノーリアクションだけど、ちゃんと話は聞いてるんだろう。


 そうして俺たちは、プールサイドで花火をすることになった。
 運動場を照らす明かりが、少し差し込んでいたけど、充分暗い。
 手元が確認できる分、ちょうどいい暗さかもしれない。

 30分くらい花火を楽しんでいると、スマホにメッセージが届いた。
『部屋、いないんだ?』
 ……悠貴からだ。
 俺の部屋に来たらしい。
 何の用か……なんてのは、聞かなくてもわかる。
 あいつはテスト週間中、結構がっつり勉強するらしいし、テストあけの今日は、疲れてそういう気分じゃないかと思ってたんだけど。

「どうしたの、凍也」
 スマホを眺める俺を、凪が気にしてくれる。
「んー……別に。友達が俺の部屋来てたみたい」
「そうなんだ? まあ、花火も減ってきたし、テストあけで功くん眠そうだし。もうちょっとしたら戻ってもいいかもね」
「じゃあ、9時くらいにお開きにすっか」
 そう時間を決めて、みんなに伝える。
 悠貴にも、プールサイトで遊んでること、9時には終わることを伝えた。



 9時過ぎ。
 凪と霞夜と功を見送った後、俺は1人、プールサイドに残った。
 こっちにわざわざ悠貴が来てくれるらしい。
 スマホを確認していると、門の方から物音がして、すぐに悠貴だと気づいた。
 タイミングよすぎだし、どこかで凪たちが帰るのを見ていたのかもしれない。
 門を乗り越えてきた悠貴のもとへと向かう。
「寮で待っててくれてもいいのに。なんでいちいち迎えに来てんの?」
 嫌じゃないから、断らなかったけど。
「迎えに来たわけじゃないよ」
「え……?」
 どういうことかと、悠貴の表情を窺おうとした瞬間、顔が近づいてきて、不意打ちみたいに唇をふさがれた。
「ん……」
 今日は、がっつきたい気分なんだろうか。
 俺は花火してたけど、悠貴は30分待ってた……とか?
 なんでもいいけど、そのままあたり前のように俺たちは舌を絡ませ合う。
 ……気持ちいい。
 テスト週間とテストと、合わせて10日くらい?
 その間、悠貴とはなにもしてない。
 悠貴以外ともしていない。
 1人で抜いたりはしたけど、ただ抜いただけ。

 少し名残惜しい気もするくらいのタイミングで、悠貴の舌が離れていく。
「はぁ……なに? ここですんの?」
 俺が尋ねると、悠貴は楽しそうに笑った。
「さすがにここじゃしたことなかったし。いい機会じゃん」
 たしかに、今日を逃せばプールサイドでやるなんてことには、もうならないかもしれない。
 これまで屋上とか保健室とか、それなりにいろんな場所でやってきたけど、いまとなっては新鮮味もない。
「ま、いいけど」
 そう答えて、俺は飛び込み台に腰掛けた。

 悠貴は、前に立つと俺の顔を上に向かせてまた口をふさぐ。
 見下ろされてするキスは、それだけでさっきとは感じ方が違った。
 逃げられない……そんな感じがして。
 なんかちょっと興奮する。
 悠貴は口を重ねたまま、左手で俺の髪を梳くと、右手で俺のズボンのボタンをはずし、チャックをおろした。
「ん……もう勃ってんじゃん」
「はぁ……悠貴は? まだ勃ってねぇ?」
「いま勃った」
 そう言いながら、悠貴は俺の腕を引いて飛び込み台から降ろすと、プールサイドに仰向けで寝かせる。
 俺は少し腰を浮かせて、ズボンと下着を引き抜いてくれる悠貴を手伝う。
 自然と軽く足を開いたタイミングで、悠貴はポケットからローションを取り出した。
「準備いいじゃん」
「まあね。舐めてもいいけど、ローションの方がやっぱ滑りいいし、ちょっと久しぶりだから」
 悠貴は、俺の右足を折りたたむように膝裏を押さえつけると、ローションを纏った指先で、奥まった窄まりを撫で上げる。
「ん……ん……」
「冷たい?」
「少し……まあ、平気だけど」
「そう。じゃあ、入れるよ」
 入れられる。
 俺が頷くより先に、ゆっくりした速度で指が入り込んでくる。
「ああっ……ん! んぅっ!」
「やっぱりキツい……初めてみたい」
「はぁ……ぁ……んん……」
「でも、前より力抜くのうまくなってるよね。スムーズに入るようになった」
 ああ……とりあえず、あんまり体は強張らなくなったかもしれない。
「……ゆっくりするよ」
 悠貴の指が、少しずつ奥の方へと移動していく。
 痛みはない。
 それよりたぶん、もう気持ちよくなりかけてる。
 指が1本、入り込んでくるだけなのに。
「あぁっ……あっ! んぅん……んっ!」
「苦しい?」
 小さく首を横に振る。
 苦しくはないけど、落ち着かない。
 そこに指を入れられた瞬間、俺はやる側じゃなくやられる側なんだってことを実感させられる。
 やる前からわかってることなのに。
 やっぱり慣れなくて、まだ恥ずかしい。
 そんなこと考えている余裕は、だんだん消え失せるんだけど。

 奥まで入った指が、今度はゆっくり退いていく。
「ふぁっ、あっ……ん、ん……」
 抜け切る前に、また奥へ。
 出たり、入ったり……。
 腰のあたりがゾクゾクして、それが全身に行き渡るみたいだった。
「はぁ……ん……んっ……ぁ……あっ……んぅ……ん……」
 ああ……気持ちいい。
 気持ちよくて、たまんない。
 指が行き来するたび、敏感なところをわずかにかすめていく。
「凍也……少し腰浮いてきてるね。気持ちいい?」
「ん……んぅ……ぁ……んっ……ぅん……はぁ……はぁっ」
 ぼんやりした状態で、俺は小さく頷いた。
「はぁっ……あ……ん……あっ! んぅう……いい……」
「こっちも弄ろうか」
 そう言ったかと思うと、悠貴が股間のモノに優しく触れる。
「ぁあっ! あっ……!」
「こっちだけ弄ってもわりと平気そうなのに、後ろ弄られながらだと、声出ちゃうよね」
 俺は頷くこともせず、悠貴の視線から逃れるみたいに、顔を横に向けた。

 悠貴は指を出し入れしながら、俺の性器も緩やかに擦ってくれる。
 強すぎない……むしろ弱いくらい。
 はじめたばっかりだってこともあって、あんまりじれったい感じはなかった。
「はぁ……ん……ん……あ……ああっ……」
 ほぐれてきたのを見計らうようにして、悠貴の指がもう1本入り込んでくる。
「あぁあっ! あっ、ん、んっ」
 ゆっくり負担のないように。
 それでも、俺の腰は勝手にビクつく。
「んー……大丈夫?」
「んっ……大丈……ああっ……んぅっ! んっ!」
 悠貴が擦ってくれる性器からは、先走りの液がたくさん溢れていた。
 さっきよりも太いのが奥にきて、ナカを開いていく。
「ああ……ん……んぅ……ぁあっ!」
 いく。
 ちらっと悠貴を窺った瞬間、悠貴と目が合った。
「……いいよ」
 悠貴はそう答えて、奥まで入れた指はそのままに、性器を擦り上げる速度をあげる。
 どうやら本当に、先にイかせてくれるらしい。
 早い気もするけど、どうせここで終わるわけじゃない。
「んっ……ん! くっ……んぅんんっ!」

 イかされて、悠貴の左手が性器から離れていく。
 少し間をおいて、力が抜けてしまっている俺のナカを、悠貴の指がゆっくり掻き回し始めた。
「あぁあ……ふぁ……ああっ」
 力が抜けすぎて、声が殺せない。
 というか殺すのもめんどくさい。
 奥に入ったまま、少ない刺激で、ナカをほぐされていく。
 マッサージを受けてるみたいに心地いい。
 まあ、マッサージなんて、まともに受けたことないけど。
「はぁ……ん……んぅ……ん……」
 このまま続けてくれたらいいのに、悠貴はナカに入った指をぴたりと止めた。

「あ……ん……なんで……?」
「ん?」
「はぁ……なんで、やめんだよ……」
「やめたら凍也の方から腰振ってくれるかなーとか思ったけど、まだ無理か」
 腰なんて振れるはずがない。
 だいたいイッたばっかだし。
「そんなん……」
「いいよ。そのかわり言ってよ。どうされたいか」
「どうって……」
「ん?」
 ああ、言うまでしない気か。
 こうしろって要求するだけだし、別に恥ずかしいことじゃない。
 そう思いたいのに、やっぱり言いづらいのは、どこか恥ずかしい気持ちがあるのかもしれない。
「さっきの……」
「うん」
「だから……ゆっくり、掻き回すやつ……」
「これ?」
 もう一度、悠貴がゆっくり指でナカを掻き回してくれる。
「あぁっ、んぅ……! あっ、あぁ……ん……はぁ……」
「そんなにこれ、気持ちいいんだ?」
 気持ちいい。
「んっ……んんっ……いい……はぁっ……はぁっ……あぁっ、ん……」
 気持ちよくてたまんない。
 イッた直後の体が少し落ち着いてきたからか、さっきよりも、ちょうどいい。
 それなのに悠貴は、また指を止めてしまう。
「んぅんっ……やめっ……! もぉ、やめんの……や……」
「んー?」
 ニヤニヤ笑いながら、楽しそうに俺を見下ろしやがって。
「……むかつく」
「こんなに欲しがってくれてんのに、なんで腰振れないんだろうね。あとで騎乗位でもしてみる?」
「……出来ないって、わかってんだろ」
「出来るようになるかもしれないよ?」
 とにかく、いまは出来る気がしない。
「今日はしない……無理……」
「腰はたまに浮いちゃうのに……動かせないんだ?」
「ん……」
「少しくねらせてくれたら、またさっきみたいに気持ちよくなれるよ?」
 気持ちよく……なりたい。
 こんなこと、いままでしたことないけど、興味はある。
 少し腰を浮かせると、悠貴の指がナカを押さえつけているみたいに感じた。
「あっ、んぅ……」
「そう……俺は動かさないようにしてるから、そのまま、腰回しなよ」
 さすがに、寝転がったまま腰回すとか恥ずかしすぎんだけど。
 それでも、さっきの気持ちいいのが欲しくて、浮かせた腰を少しだけ自分なりに回してみる。
「ぁくっ……あっ……ぁう……んっ」
「自分の方が強さとか調整出来るだろうし、いい感じに気持ちよくなれそうじゃない?」
 調整なんて全然出来そうになかった。
 気持ちいいけど、腰がつらいし、悠貴がしてくれた方が気持ちいい。
「んっ……んぅっ……なんか、違う……」
「じゃあ、この辺は? ほら……凍也の弱いとこ。腰浮かせたらあたるようにしてあげる」
 悠貴の指が少しだけ退いていく。
 前立腺にあたりそうな位置。
 このまま、腰を浮かせて落としたら、たぶんあたる。
「……出来ない」
「してみてよ」
 たぶん無理。
 そう思ったけど、どんな感じかは気になるし。
 少しだけまた腰を浮かせてみると、悠貴の指で弱いところを擦られて、その瞬間、体がビクついた。
「あぁあっ! んっ、だめ……!」
「ああ……本当にダメっぽいなぁ。ちょっとあたっただけなのに、そんなにビクついてたら、さすがに腰振れないよ」
 腰を落として、悠貴をにらみつける。
「だから、出来ねぇって……!」
「わかったわかった。それでも挑戦しちゃう凍也も、セックス下手な凍也も俺は好きだから。ね?」
「くっ……タチのときはちゃんと出来るし……! お前がっ……お前が調整しろよ……」
「はいはい。じゃあ、俺の具合で、やっちゃうね」
 悠貴の具合?
「なにそれ……」
「ゆるーく掻き回すのはもう終わりにしよ。それで蕩ける凍也もいいけど、今日は久しぶりだし、もう少し過敏に反応してくれる凍也が見たいな」
 ああ、もう終わりか。
「ん……強いの……やなんだけど」
「うん。強すぎるとうまく感じれないんだよね? 大丈夫。その辺は加減するから」
「ちゃんと……」
「感じさせるよ。ヨくなかったら、やり返していいから」
 俺は小さく頷いて、悠貴にゆだねる。
 悠貴はさっきあたった弱いところを指で押さえつけてきた。
「ひぁっ! あっ……あぅ……」
「んー……強い?」
「んっ……ぅんっ……あっ……ああっ……あぁんぅ……!」
 加減するって言ったくせに。
 やっぱりまだ体が落ち着き切っていないせいか、少し久しぶりだからか。
 悠貴の指が軽く何度かナカを押すだけで、ありえないほどの快感が押し寄せてきた。
 涙が溢れて、悠貴がぼやける。
「はぁっ、はぁっ! 待って……ああっ……待ってぇ、悠貴っ」
 俺は必死に訴える。
「ん……なんで?」
「いっ……あぁあっ……あっ、んぅっ、んっ……いっ……ぃくっ……ああっ、あっ!」
「ふぅん……もうイッちゃいそうなんだ? さっきイッたのにね」
 悠貴の声は、すごく楽しそうだった。
 興奮してる声。
 やめる気はないんだと察する。
 やめないで欲しいときにはやめるくせに。
 そういうやりとりも、ちょっと楽しいとか思っちゃってるけど。
 今度は指をとめることなく、ナカをぐにぐにと押さえつけてきた。
「ひぁっ、あっ、いくってっ……! んぅんんっ! ああっ、あんっ……んぅんんんっ!」
 また、たくさん精液を吐き出してしまう。
「そんなに良かった?」
 そう言いながら、指でナカを撫で上げていく。
 もうイッたんだけど。
 もちろん、気づいてないはずないだろう。
「あぁあっ……んぅっ! あんっ……あっ! あぁっ! んっ!」
「かわい……腰砕けてる? これじゃあ腰振りたくても振れないね。どっちにしろ、凍也は出来ないから、俺がしてあげるけど」
 悠貴の言う通り、腰が砕けているみたいだった。
 体に力が入らない。
 頭も働かない。
 いっぱいいっぱいで、また目から涙が溢れる。
 苦しい。
 気持ちいい。
 また腰が震えて、気づくと精液を零していた。
「あぁ……あっ!」
「やらしー……。ねぇ、うまく射精出来ない? ここ、押さえるたびに溢れさせてさ。尿道に残っちゃってんの?」
 自分でも、よくわからなかった。
 精液がたくさん零れた後、今度は尿意に襲われる。
「ああっ……あっ、だめ……悠貴……んん、んっ……だめっ……もれそぉ……」
「いいよ」
「はぁ……? あっ、いいわけ……」
「俺がそんなんで引くと思う? 逆に凍也は、自分が攻めてるとき、相手が漏らしちゃったら、引く?」
 されたことはないけど、たぶん引かない。
 どっちかっつーと、興奮するかも。
 だからって、恥ずかしくないわけじゃない。
 俺の気持ちが整う間もなく、悠貴はナカを擦りながら、もう片方の手で亀頭を撫でる。
「ひぅっ! んぅっ、んっ……ああっ、やぁっ……でるっ! でちゃうって!」
「うん、早く出しなよ」
 そう言われても、もちろん安心出来ないし、我慢したいのに限界がきてしまう。
「んぅっ! やっ…! んっ、あっ……んぅんんんっ!」
 とうとう漏らしてしまっても、悠貴は手を離してくれなくて、俺の亀頭は優しく掴まれたまま。
 悠貴の手の中に出してしまっていた。
 悠貴はどうやら本当に平気らしい。
 けど、俺の方が平気じゃない。
「ははっ……すご……擦って、もっと潮吹きする?」
 俺が返事をするより早く、悠貴はまた亀頭を手の平で撫で回す。
「あぁあっ! ああっ、あっ、あんんっ、やっ……んぅんっ!」
「凍也って、結構Mだよね」
 知らない。
 どっちかっつーと、Sだと思ってたし。
 何度も何度も撫でられて、なにか噴き出てしまう。
「ひぁっ、んぅんっ!」
「はぁ……ビチャビチャになっちゃった」
「はぁっ……あ……ん……」
「潮吹きって、どんな感じ? 初めてだよね」
 やっと性器から手が離れていく。
 ナカからも指を引き抜いてくれて、俺は必死に呼吸を繰り返す。
「はぁ……はぁっ……ああっ……ん、はぁ……!」
「凍也? 聞いてる?」
 全然、落ち着かない。
 解放感と羞恥心で、体も頭もごちゃごちゃで。
 ああ、でもたぶん……。
「んん……きもち、い……」
「気持ちいいんだ……?」
 悠貴の右手が、もう一度、俺の亀頭を包み込む。
 左手で竿を支えながら、右手の平で先端を少し擦られるだけで、腰がガクガク震えた。
「あぁあっ! ああっ……あぁっ!」
「ああ……まだ出せるんだ? こういうのって、全部、出した方がいいよね」
「あんっ……ああっ、でるっ……あうっ……でちゃ……あぁああっ!」

 たくさん亀頭を擦られて、たぶんもう空っぽだ。
 それがわかってか、悠貴が手を止める。
 俺は脱力状態で、視線から逃れるように上半身を捻って、顔を横に向けた。
「ぐったりしてる凍也……いいね」
「はぁ……?」
「縛って抵抗できなくさせるのも嫌いじゃないけど、凍也はそういうことしなくても、抵抗出来ないくらい力抜けちゃうじゃん? 抵抗する気があるとかないとかの問題以前にね。そういうの、すごくいい」
 悠貴の言うように、抵抗出来る気がしない。
「それって……されるがままだし、結局、マグロじゃね?」
「ちゃんと反応してるし、マグロとはまた別じゃない?」
 よくわかんねぇけど、そんなことより、腹の上は精液やら潮やらでぐちゃぐちゃだ。
 普通、引くだろ。
 視線を悠貴に戻すと、ニヤニヤ笑っていた。
「……大丈夫。誰にも言わないから」
「あたり前だし」
「潮、吹かせちゃった」
 はじめて、悠貴に潮を吹かされた。
 そう考えたら、かぁっと顔が熱くなった。
 さっきまで感じていた羞恥心とはなんか違う。
 よくわからないけど、見てられなくて、また横を向いた。