2学期が始まって間もない頃だった。
昼休み。
いつもは屋上へとタバコを吸いに行くのだが、今日はあいにくの雨。
しかも、蒸し暑くてたまらない。
俺はクラスメートと、クーラーの効いている図書館で、タバコを吸いながら過ごしていた。
っと、そのタバコを取り上げられてしまう。
先輩…か?
「…なんすか…?」
不良…っぽくはなかった。
恐い感じもしないが、いきなり俺らのタバコをとりあげるくらいだ。
それなりのなにかがあるんだろ。

「あんまり、目立つところで、やめてくれませんか?」
「…迷惑かけてます?」
「はい。あまりに秩序が乱れると、生徒会に教師が介入してきてうざいので」

ということは、この生徒は生徒会関係の人…ということだろう。
だとしても、いちいちうるさいな。
俺がなにか言おうとしたときだった。
「すいませんっ」
俺の友達が、隣でそう声をあげる。
「わかっていただければいいですよ。君は?」
そう俺へと目を向けられる。
「……わかりました」
一応そう答え、そいつが去っていくのをとりあえず見守った。

「…なに、あいつ」
そう俺が友達にぼやく。
「お前、知らないの? 生徒会長。…うちの学校、結構不良っぽいの多いだろ? そいつらまとめ上げてるって有名なんだよ」
そう教えてくれる。
「…そうなんだ…?」



それが、良介先輩との出会いだった。

それから、何度か会うことがあって。
「生徒会室来ますか? そこなら教師も来ないし、好きに、吸えますよ」

俺にはそれが魅力的で。
生徒会室に出入りさせてもらうことになった。

名前だけでも、一応、役員でないとあまりに頻繁な出入りは出来ないようで。
というのも、他の役員の目があるからだ。

生徒会長である良介先輩は、面倒じゃないかと心配する俺に、『大した仕事はない』と、そう言ってくれ、俺は役員になった。

生徒会室に通いだして、1ヶ月かそこら過ぎたころ。
朝っぱらから調子が乗らず、サボってしまおうと、寄ったときだった。

ドアを開けると、そこに倒れこむ生徒とそれを見下ろす良介先輩。

なんだかやばいところに居合わせたような気がした。
「あ。悟。おはよう♪」
「おはよう…ございます…」
つい、倒れこんでいる生徒に目を向けてしまう。
と、それに気づいたのか。
「この人はね。生徒会役員で。ココで吸っていいっつってんのに、中庭で吸ってて、それが教師に見つかって。生徒会の信用、落とすようなことしちゃったから」

そう教えてくれる。
つまりは、ソレは、良介先輩がやったわけ…?
倒れこむ不良っぽい生徒は決して弱いようには見えないし。
いまだお腹を押さえ込むようにして、苦しんでいる。

俺も、二の舞にならないよう、肝に銘じた。
生徒会にいることが、少し恐くなる。
が、ここで吸えるわけだし。
役員じゃなかったとして、良介先輩に怒られなくっても、教師に怒られるなら一緒だし。
そう考えると、生徒会にいても大丈夫だなと、思えた。
まぁ、この人は、教師にも良介先輩にも怒られたみたいだけど…。

「早く出てって。自宅待機でしょ、どうせ」
「はい…」
そう言われ、お腹を押さえたまま、先輩だと思われる生徒会役員の人は出て行った。


「悟は? どうしたの?」
そう聞いてくれる。
「いえ…。ちょっと体調悪くて…。保健室よりここの方が休まる気がしたんで」
なんとなく、優等生な答え方をしていた。

「そうですか」
にっこり笑って。
「いまから、一緒に帰ります?」
いきなり、そう言われる。
「え…」
「調子が出ないんでしょう?」
「まぁ…。でも、2時間くらいしたら、出る気になるかもしんねぇし…。家帰ると親、うるさそうで…」
「僕の家。ここから近いんですよ。そこで、休憩して。行きたくなったらまた学校行くってのはどうです?」

良介先輩の家か。
「でも、良介先輩は…」
「僕も。今日は調子が出ないんです。でもまぁ一人じゃ寂しいなと思ってたんで」

俺らは2人で良介先輩の家に行くことになった。
親は共働きなのか、誰も居なくて。
ただ、詳しく聞こうとは思わなかった。


良介先輩の部屋へと通されて。
「ベッド。座っていいですよ」
言われるがままに座ると、俺の前に良介先輩は立って。

「…ずっと、かわいいと思ってました」
そんなことを言う。
「…え…?」
意味がわからず、上を向く俺の顔を掴んで。
そっと口を重ねられる。
「んっ……」
反射的に押し退けようとする俺を逆に押さえつけて、ベッドへとそのまま押し倒される。
深く口を重ねられ、舌が入り込んできていた。
信じられない状況で。
良介先輩が、俺の舌を舌で撫でて。
体がゾクゾクする。
「んっ…ン…」
片方の手が、ズボンの上から俺の股間を撫で上げる。
急なその行動に、体が大きくビクついた。

「…どうした…?」
口を離して俺を見下ろす良介先輩は、いつもと違って、ものすごく恐く感じた。
何度も、股間のモノをズボンの上から撫でていく。
「んっ…くんっ…!!」
こんなこと、良介先輩にされるなんて。
もちろん、思いっきり抵抗できる相手でもないし。
さっきの先輩が苦しんでいた様子を見るとなおさら。
殴られるんじゃないかとか思うわけだ。

「良介…先輩…っ」
「ねぇ。悟の体、全部見せて…?」
シャツをめくりあげられる。
すぐさま、胸元へと口付けて、舌が乳首を何度も行き来する。
「んっ…ぅんっ!」
まさか、感じるとは思っていなかった箇所で、体がゾクゾクして、慌てるように良介先輩を見る。
「…思った以上に感じる…? ここで…」
指が、もう片方の乳首を転がして。
体が震える。
「ぁっ…んっ…」
力が抜けて、うまく頭が回らない。
それよりも、この状況、どうすればいいのかわからなくて。

そんな俺を見てなのかにっこり笑うと、ズボンと下着を引き抜いていく。
「っ…あのっ…良介先輩…っ」
「感じたの…?」
俺の、すでに勃ち上がってしまっている股間のモノを指先で撫でて。
羞恥心が高まる。

「俺っ…」
「駄目ですか? 見たいんですけど」
そんな風に、言われても。
俺の足を、ベッドの上へとあげてしまい、俺は膝を立てて足を開いてしまう。
どう答えていいのか分からないでいると、俺のを良介先輩は口に含む。
「ぁっんっ…くんっ…」
舌が何度も絡まって。
上下に口内を出入りして。
すっげぇ気持ちよくって、体がおかしくなる。

「はぁっあっ…んぅっ…」
腰が動いて、駄目だと思うのに良介先輩の口内へとソレを何度も押し込んでしまう。
止まらなかった。
「んぅっあっ…ぅんっンっ」

これ以上されたら、良介先輩の口内に出してしまうのではないかと、頭をよぎったときだった。
そっと、口を離されてしまう。
「あ……」
「…もっとして欲しかった…?」
そう言われ、素直に頷くことも出来ず、戸惑っていると、良介先輩の指が、後ろの窪みをそっとなでる。
「っなっ…」
「…したことないですか…?」
「あのっ……なんでっ」
「好きになっちゃったんですよね、あなたが。付き合って」
右手で、入り口をなでたまま、俺を見下ろしてそんなことを言う。
「…いきなり、どうしたんすか?」
「いえ。初めからそのつもりでしたけど」

見下ろして。
見せ付けるように、良介先輩は、指を舐め上げる。
逃げる精神的余裕もないし。
どうすればいいのかわからなくて。
高鳴る鼓動の理由もいまいちわからない。
不安だから? 恐いから? 告白されたから?

舐めあげた指先が、また入り口をさ迷って。
ヌルヌルとすべる。
「…初めからね。目をつけてました。悟を自分のモノにしたくて。生徒会役員にさせたんですよ…」
そう言って、ゆっくりと、指を押し込んでいく。
「っんっ…んーっ…」
「力、抜いてください…。これじゃ全然入りません」
良介先輩は、俺の頭をなでてくれながら、ゆっくり、ゆっくりと指先を進めて行く。
「くっ…んっ…」
「痛い…ですか?」
「はぁっ…痛…」
「初めて…ですよね…? 大丈夫…じっくり慣らしましょう…?」
一旦、少しだけ入り込んだ指を引き抜いて。
机の引き出しから、ローションを取り出してくれる。
俺は、どうにも出来ないで、足を開いたまま。
そのローションを良介先輩が指先に取り、たっぷりと入り口に塗りこむようにして、そっとまた指を押し込んでいく。
「んっ…ぅんんっ…」
息苦しいくらいの圧迫感。
今度は痛みはないが、いままで味わったことのない変な感触だった。
「もっと、奥まで入れますから…」
そう教えながら、入り込んでくる指の刺激に耐えようと、ベッドのシーツを強く掴んでいた。

「っ…んっ…ん…」
奥まで入った指を少しだけ引き抜いて。
指先が、少し折れ曲がりながら、中を探る。
「っあっ…んぅっ…」
「ここらへん……?」
ゆっくりと、探るように、中を指がかき回していく。
耐え切れず、俺は自分のモノに手を触れた。
「…前も、触りたいですか…? いいですよ、してあげますから」
そう言うと、良介先輩が、俺の手をどかすようにして代わりに俺のを掴む。
何度も擦りあげてくれて、後ろの指も、中をそっと刺激する。
「はぁっ…んっ…」
「ちゃんと、後ろも意識してくださいね…。ここ…」
示すように、指先が感じる所を突いて、体が大きく跳ね上がってしまう。
「ぁっぁあンっ…」
ありえない自分の声に、慌てて手で口を押さえ、良介先輩の表情を伺った。

良介先輩は、そっと、俺のモノから手を離して。
その手に付いている精液を舌で拭う。
「あ…」
嘘だろ、俺。
少し擦られて、ソコ突かれただけで。
イってしまう。

恥ずかしくてたまらない。
良介先輩は、中に入り込んだ指で、また、感じる場所を教えてくれる。
「っやめっ!!」
「ねぇ…ここで。わけわかんないうちにイっちゃった?」

ゾクゾクする。
「んっ…んぅんんっっ…」
「困りましたねぇ。少し避けましょうか? もうちょっと、うまく感じて…?」
そう言いながら、少し場所をずらすようにして、指先が中を突く。
「んーっぅんっ…ぁああっ…」
それでも、中で指が動けば、振動が伝わるわけで。
耐え難い感触。
よくわからなくて、ベッドに手を付く良介先輩の腕を掴む。
「どうしました? もっと、緩い方がいいです?」
緩やかに、指で中を回され、体中が熱くておかしくなっていた。
「はぁっぁんっあぁんっ…」
「ん…気持ちよくなってきました? 目がトロけてますね」
頭がボーっとした。涙が溢れる。
「んぅンっ…だ…めっ…あ…んっ…ぁんっ」
良介先輩が、俺の口に口を重ねて。
舌を絡め取ってくれる。
気持ちよくて、わけがわからなかった。
この声出してるのが自分だって、なんとなく理解できなくて。
夢でも見ているようで。
「んっ…ぅんっ…」
「もっと…舌出して、絡めて…?」
そうは言われても、考えが回らない。
「ぅんっ…んーっ」
掴んでいた良介先輩の腕に爪を立ててしまう。

「どうしました…? 悟…」
指が、感じる所を掠めるたびに、体がビクついた。
「ぁっぁあっ…んっ…やぁあっっっ…」
「ここ…後ろだけで感じれる?」
「んっ…やめっっぁあっ…んっ…アっ」
「そのまま…もう一度、イこ…?」
少しだけ、強めに後ろを刺激して。
次第に射精感が高まる。
「ぁあっんっあんっ…ぁあっやぁあっっ」

また。
大きな声をあげて、良介先輩にイかされてしまう。
ゆっくりと指が引き抜かれて、体に力が入らなかった。
「悟…疲れた? そのまま、寝ちゃっていいですよ…」
優しくそう言ってくれて、俺は脱力状態で、眠りについた。



目が覚めると、服をちゃんと着させてもらっていて。
夢だったんじゃないかと思えた。
が、実際、ここは良介先輩の部屋で。
隣には良介先輩がいる。

「…悟…おはようございます」
「……おはようございます…。俺…」

手を出されたことも、もちろんびっくりしたが、まぁ済んでしまったことはどうでもいいと思えるくらい俺は軽い考え方だった。
だが、良介先輩に告白されたのを思い出し、考え込む。
もしも体目当てだとしたら、最後までやってたよな…。

「付き合う気はありますか?」
いきなり。
俺の心を読み取るようにして、良介先輩が俺に聞く。

そういう聞き方をされれば、ない…ということになる。
ただ、絶対、付き合いたくないか? って聞かれたら断る理由もないんだが。

「ちょっと…いまは考えれないんすけど…」
そう差しさわりのないようなあいまいな答え方をしてしまう。

「そうですか。嫌ではないですか?」
「まぁ…嫌というわけでは…」
「少し、考えてみてください」
にっこり笑ってそう言われて。

つまりはとりあえず保留状態?
まぁ、少しだけ考えてみようか。
そこまで嫌ではないし。

「わかりました」
とりあえずそう答えておく。
「…いつ、俺のこと、知ったんです…?」
さっき、俺が気に入ったから生徒会役員にしたとか。
つまり役員にする前から、俺は知られていたわけだ。
「…屋上で、何度か見ました。いつもタバコ吸っていたでしょう? 注意しようか迷ったんですけど、少し様子を見ることにしたんです。屋上で吸ってる人、みんなをいちいち役員にしてたらキリないですしね。…1学期から知ってましたよ」
まさか、1学期からいつのまにか見られていたとは。
全然、気づいてねぇな、俺。
この調子じゃ、いつ教師に見つかってもおかしくなかったかもしれない。
「そうっすか…」
「悟。答えが出るまで、僕以外の人、相手にしないでくださいね」
「はい…」
答えずにそのまま逃げるって手は使いにくいな。

しばらく間あけて、考えたフリでもして言いやすそうなときになんとか断るか。

初めは、それくらいの考えだった。