『…悟? いまからおいで?』
良介先輩からの急な電話。  
夜中の10時だ。
「……いまから?」
『そう。明日は、僕の家から学校に行けばいいでしょう?』
 なにを考えているのか。
 まぁ、良介先輩の家は、俺の家より学校に近いし。
 しょうがなく俺は、良介先輩の家までいまから出て行くことにした。


「こんな時間に呼び出して、なんのつもりだよ」
 そう言う俺を見上げて
「…べつに?」
 笑顔でそう答える。
 なにかないわけがない。
 とりあえず、良介先輩について、部屋まで上がらせてもらった。

 良介先輩とは、去年の末くらいに知りあった。
 良介先輩は2年生でありながら生徒会長を勤めていて。  
俺は1年だけれど、生徒会の中では下っ端の役員をやらせてもらっていた。
 
 現在は別の奴が生徒会長で、良介先輩が2年連続というわけではなかった。

 良介先輩のベッドに座り込む俺を笑顔で見下ろす。
「今夜は寝かせるつもりないから」
「……は…?」
「だから。悟に寝る暇はないよ」
 そう言って、良介先輩は俺の体をベッドに押し付けながらそっと口を重ねる。
「んっ…」
 ついばむようにキスをして、すぐさま良介先輩の舌が、首筋を撫でていく。
「…っ…どういうつもり…」
「…聞いたよ…。生徒会の後輩に、手を出したそうじゃない…?」
 静かに優しい口調でそう言いながら、俺の上に着ていた服を脱がしていく。
「…っ…別に…ちょっとしか…」
「へぇ。どうだった? かわいかった? 悟に手出されて、いやらしく喘いじゃってた?」
「…ホント、ちょっとしかしてないし…怒んなよ…」
「……別に。怒ってないし」
 良介先輩は俺のズボンに手をかける。
「っ……」
「やだ…? いまさら恥ずかしがってんの? あぁ、ここまだナイから?」
 わざとらしくそう言って、ゆっくり脱がしていく。
「ちょっとしかしてないってねぇ? そりゃわかりますよ、こんな状態じゃさらせな
いよねぇ」  
以前、良介先輩に剃られて、まだ生えそろわないそこの毛を緩やかに撫でられる。
「また剃っとこうか? つるっつるにね」
「…もう…やだって…」
 そう俺が言ったのが、気に食わなかったのか気に入ったのか。
 ズボンと下着をすべて剥ぎ取ってから、笑顔でカミソリを取り出す。
「だって。剃っておかないと浮気しちゃうでしょ?」
「しないってば…っ」
「じゃあ、襲われたらどうする? 逃げる? まぁいっかってやらせたりしない? 
でも、さすがにこれじゃあ晒せないよねぇ。…それとも見られて感じちゃう?」
 良介先輩が手にしたカミソリでまだ生えそろっていないそこを綺麗に剃っていく。
「っん……」
「反論とかないの? こぉんなとこ剃られてさ」
「だってっ……言ってやめるのかよ…」
「…ふぅん…。そう思うから言わないんだ? せっかくやめてって懇願されたら考えたのに。まぁいいや。じゃあ、やめない。なに言われてももうやめないから」
 笑顔でそう言うと、カミソリをおいて、俺に体を重ねる。
「悟…」
 俺の頭を撫でて、口を重ねて。
 舌が絡まりあう。
 そのまま、良介先輩の手が、緩やかに今、剃り終えた部分を撫でていく。
「んっ…ん…」
 酸欠になりそうで、頭がボーっとしていた。
 やっと口を開放され、良介先輩を見上げる。
「わかる…? つるつるだね…」
 顔が熱くなっていく。
「はずかしい?」
「っ…」
 つい顔を逸らしていた。
「聞いてるんですけど。ちゃんと答えろよ…」
「…はず…かしいってば…こんなん…」
 満足そうに少し笑うのがわかった。
「だよね…」
 良介先輩は、俺の乳首にそっと舌を這わす。
 それだけなのに、嫌なくらい体がびくついた。
 もう片方を、指で転がして、爪ではじく。
「んっ…んぅっ…」
「はずかしいよね。こんないやらしい体…」
 言葉を挟んでまた、舌を絡めて。
 軽く歯を立てられて、涙が溢れる。
「っんっ!っ…くんっ…」
 俺は、ベッドのシーツをぎゅっと掴んでその刺激に耐えていた。
 丹念に、繰り返し胸への愛撫を続けられ、体中が熱くなる。
「っ…もぉっ…やめっ…」
 良介先輩の髪の毛を掴むようにして、俺は引き剥がそうと試みる。
 が、手に力が入らないし、無理には引き剥がすわけにもいかないし。
 胸ばかりのじれったいような愛撫に、耐えられなくなってくる。
「っんっ…やっ…めっ…」
 やばいって。
 良介先輩は、やめようとしてくれず、ずっと続けるもんだから、それだけでイってしまいそうで。
 乳首だけでイかされるなんて、恥ずかしいと考えれば考えるほど、感じてしまう。
 俺は、必死で声を抑えようと、自分の手で口を押さえた。
「んっ…っぅんっ…んーーーっ!!」

 
 体がビクついて、欲望をはじけだしてしまう。
 良介先輩はやっと愛撫をやめて顔をあげ俺を見下ろした。
「…っ…」
「胸だけでイっちゃったね…。恥ずかしい子…」
 良介先輩の手が、俺の精液を取って、後ろの入り口に塗りたくるように撫でていく。
「っん…んー…」
「ねぇ…声、出して…? ほら…入れてあげるから…」
「っ…や…だっ…」
 そうは言っても、押さえていた手を取られ、なんとなくもう片方の手で押さえることが出来ない。
なるべく刺激に耐えようと、ベッドのシーツを握り締めた。
 それを確認してからか、良介先輩の指が入り込む。
「っんっ…ぁっ…んーっ…」
「ね。1本、奥まで入っちゃった」
 ゆっくり、その指が抜き差しされ、中をかき回していく。
「あっ…はぁっっ…やっ…」
「ここ…イイでしょ」
 良介先輩の折れ曲がった指が、前立腺を刺激して、体が大きくびくついた。
「んーっ…やっあっ…ぁあっ…」
「いやなの? いやならやめるよ?」
「あっっ…やっ…良介…」
「いやなんだ?」
 俺は頷いて『嫌だ』と肯定する。
 が、それで納得してくれる相手ではない。
「今日は駄目。なに言ってもやめたげないってさっき言ったでしょう…?」
 笑顔でそう言って、何度も直接的に前立腺を突かれ、強制的に射精感が高まる。
 イったばっかりで、おかしい状態の体に強すぎる刺激で、体が震えた。  

「嫌…っ…あっ…やめっ…」
「なにが嫌? ねぇ、悟はいつになったら慣れるの? 女の子みたいに恥ずかしい声上げちゃうのが嫌? かわいいからいいよ、出して?」
「んぅっっやっ…ぁんっ…」
「ほらぁ…。かわいいね。あん…って。もっと言って」
 つい出てしまった恥ずかしすぎる声を聞き逃さないで指摘され、羞恥心から涙が溢れる。
「やっ…もぉっ…あっ…やぁっっっ」
「ねぇ、悟。僕の前では、かわいくなっていいんだよ。もっと甘えて見せてよ」
 そう言って、良介先輩は、2本目の指を差し込んでいく。
「やっ!!…やだっ…」
 俺は、良介先輩のシャツを握るだけで、なにも出来ずにいた。
 ゆっくりと奥へと2本目の指が入り込んでくる感覚に背筋がゾクっと震え上がった。
「待っ…っんーっ…」
「待たないよ」
「や…っやぁっ…やめてくださっ…」
「そうやってやめてって頼むことの方が恥ずかしくない?」
 2本、入り込んだ指が中で蠢いて。
 その刺激のせいで、たまに足がビクンと震えてしまうのが恥ずかしくてたまらなかった。
「はぁっやっ…やぁっやぁあっ…」
 良介先輩が、俺の頬をそっと撫でて、親指で涙をぬぐってくれる。
「恐がらないで…不安そうな悟も好きだけど。そろそろ慣れようよ。ね、後ろだけでイこ?」
「やっやだっ…やぁあああっっ」

 言葉通り、後ろだけでイかされて。
 体中がおかしな感じがした。
 力が入らない。

「悟。かわいいよ。すごくかわいい。ね。そろそろヤらせてよ」
 そう、まだこの人と俺は最後までしたことがない。
 それ未満の行為は何度もしているが。

「っ…口で…する…」
 口でするのが好きなわけではない。
 ただ、そう言わないと逃れられないからだ。
 そう起き上がろうとする俺の体を良介先輩はまた押さえつける。

「今日は駄目だよ。ね。もう我慢できないんですよ。好きな子が目の前で泣きながら
喘いでて、ハメたいって思わない方がおかしいでしょう」

 良介が自分のモノをとりだすけれど、ソレが自分の中に入るだなんて想像がつかない。
 あれが納まるのか?
「無理…」
「指で慣らしたし、痛くはないよ。ローションも使ってあげる」
 良介先輩が自分のモノにローションをつけるのが目に入った。
「っ駄目…だってっ…。無理に決まってるだろっ?」
「どうしてそういうこと言うの? 前、指3本くわえ込んでたし、大丈夫でしょ」
 そうとだけ言うとゆっくりと、さっきまで指が入り込んでいた所へと押し込んでいく。
「んっんーっ…やっ…やあっ」
「ごめんね…。僕、サドだから。もちろん良心は痛むけど、そうやって『やめてください』って表情見せられて、涙浮かべられたら、虐めたくなるよ」
「やっ…やぁあっ…やだっ…」
「ほら…もうすぐ全部、入りそう…。ね…ちゃんと優しくするから」
「もぉ、やだって言ってっ…んっっんーっ」
「ね…全部、入った」
 俺の言葉を無視して奥まで入りこむと、良介先輩は一息つく。
「や…良介…」
「かわいいよ、悟…」
 中で良介先輩のが少し大きくなるのがわかって、羞恥心が高まった。
「もぉっ…やっ大きくしな…っでっ」
「そんな風に泣かれたら、おっきくなっちゃうよ…? 動いていいかな…」
「っやっ…だめっ…」
「じゃあゆっくり、掻き回してあげるね…」
 そう告げ俺の中をそっと掻き回してく。
「ぁあっ…んやっやっ…やぁあっ」
「大丈夫…落ち着いて、慣れて…?」
 良介先輩が、俺の口に軽く口を重ねて、頭を撫でて。
 まるで子供でもあやしてるかのようだ。
「気持ちイイことだけ、考えて…ね」
 何度も、一定のリズムでゆっくり掻き回されて、次第にその刺激がうまく感じられるようになってくる。
「あっ…あっ…んぅっ…あンっ」
「…声、変わってきたね…」
「はぁっ…あっ…良介ぇ…っ」
 心地いい感覚に頭がボーっとした。
「悟…気持ちイイ?」
「あっ…ぃい…あんっ…ぁああっ」
 良介先輩の背中に手を回して、つい引き寄せてしまう。
「良介ぇっ…あっ…気持ちいいよぉ…っ…」
「かわいすぎるよ…。ねぇ、我慢出来そうにないな…。もっと動いちゃうね…?」
 その言葉を理解するよりも先に、良介先輩が少し退いて、一気に奥まで突っ込んでいく。
「あぁあんんっ…やぁっやぁあっ…」
「強すぎる? ごめんね。悟がかわいすぎるから」
「はぁっあんっ…あっあっ…やぁあっ」
「…悟は敏感だからね…感じすぎて苦しい…? そのままイっていいよ…?」
 頭が真っ白で。
 目を開けてられなくて。
 視界がまっくらで、手探り状態で良介先輩にしがみつく。
「良介ぇ…っ…ぁっあっ…やぁああああっっっ」

 一瞬、意識が飛んだ気がした。
 良介先輩のが流れ込んでくる。


「はぁっ……良介…」
「ん…とろとろだね、悟…」
 
 気を失ったのか、気づかないうちにねてしまったのかはわからなかった。
 気づけば朝で。
 
 腰に痛みを感じた。


「悟、早く。遅刻しちゃいます」
「ん…」
 起き上がり、良介先輩の部屋に置いてある予備の制服に着替える。

「…寝かせるつもりなかったのに。まだまだだね、悟は」
「なにそれ…」
「まぁいいですけど。しっかり調教しますから」

 いつもそんなことを言って。
 俺はいつも軽く流していた。

「悟。一緒に卒業して、一緒の大学に行こう?」
 思いがけない言葉。
 
「なに…それ。良介先輩、浪人するつもりですか」
 そう問う俺ににっこりと笑顔を見せる。
「いえ。学校で悟を見守っていたいから。留年します」
 あっさりそう言う良介先輩に、また馬鹿な冗談だろうと真面目に取り合わなかった。

 
 あれから半年。
良介先輩は俺のクラスメートになった。