「…佐渡、放課後、残ってろ」
担任じゃない。
数学の教師である湖山先生だ。
「…は…い…」
なんのことかは、わからないが、きっと休み過ぎだから注意とかされるのかもしれない。
放課後に予定が入った俺を見てか、いつものやつらが、少しつまらなそうにするのが見えた。
まだ夕暮れ。
教室に一人でいると、湖山先生がやってきた。
「あぁ。佐渡」
なんの用かとも聞けず、俺はそのまま湖山先生の言葉を待つ。
「ちょっと、休みすぎだろ…」
湖山先生はため息交じりにそう言った。
そうだろうか。
3日に1回は学校に来てるはず。
「今日、久しぶりにお前の顔、見たぞ?」
首をかしげる俺に先生はそう言った。
言われてみれば。
俺も久しぶりに湖山先生を見た気がする。
狙ったわけじゃないけど、数学のある曜日ばかり休んじゃってたのかもしれない。
「…すみません…。体調悪くて…」
別に数学を避けたわけではない。
避けているのは学校全部だ。
「で、お前がいない間に教科書20Pくらい進んでるから…」
そんなにも進んでたのか…。
今日の授業で言われたページを開いたとき、あまりに先に進んでいたから、てっきり飛ばしたのかと思っていた。
「少し、補習をだな…」
めんどくさい…。
「…大丈夫です。俺、家で教科書読んでくるんで…」
「補習というよりは補充みたいなもんだ。あまりにもほかの生徒との授業時間の差が多すぎるから。課題を出すよ」
体調悪くて休んでるっていうのになんてやつだ。
「先生も、付き合うから…な…?」
湖山先生は、俺のことを考えてくれてるのかもしれない。
だから、むやみに断るのもなんだかで…。
しょうがなく、俺は頷いた。
課題プリントをやり、わからないことがあったら先生に聞くという方針。
家でやればいいのに…とは思うが、湖山先生が付き合ってくれるというのだから、家に帰れずにいた。
居残り授業みたいなもんだった。
授業を受けてても、聞いてないやつとかもっとほかにいるだろうに。
俺は、受け取ったプリントを教科書を読みながら解いていった。
わからないところがあったら聞けばいいと言っていたが、聞きにいくと長々説明されそうでうっとおしい。
そりゃ、自分で理解するよりは速いかもしれないが、それほど理解できない問題もなかったので、自分ですべて解くことが出来ていた。
「湖山先生。出来ました」
教卓へと持っていくと、湖山先生は少し遠めにプリントに目を通す。
「…まったく…。教えがいのない子だね…」
もう帰っていいのかと、湖山先生に背を向けたときだった。
くす…って…
軽く後ろから笑われた気がして。
嫌な予感がして。
足がすくんだ。
「…どうした…?」
後ろからの声に、思ったより湖山先生が近づいていたことに気づく。
「あ…」
髪に湖山先生の指が絡まって、緊張が走った。
「体調…ホントに悪いのか…? 別に疑うわけじゃないけど…。悩んで…学校に来たくないんじゃないのか…?」
そういうのって、先生にはわかってしまうのだろうか。
長年の経験みたいなもん…?
「そんな…こと…」
「なにもない…?」
言えるわけないじゃないか…。
ほっといてくれればいいのに。
「…なんでも…ないです…」
「そっか…」
すると、俺の予想とは裏腹に、湖山先生は俺の体を後ろから抱きしめた。
「っ…!?」
「…なんでもない…ことなんだろ…?」
意味がわからない。
後ろから回された手は、俺のベルトを外し、ズボンを脱がせ始めていた。
「な…ぁっ…」
どうすればいいのか、さっぱりわからなくなっていた。
体格差がありすぎる。
それに…
同級生ならともかく、先生という立場の人間に抵抗なんて出来なかった。
「怖い…? もう、慣れてるんじゃないのか…」
知ってるんだ…?
直に取り出された股間のモノを、大きな手が絡まって、ゆるりとした刺激を送っていた。
「っ…んっ…ンっ…」
なんでこんなことになったのかさっぱりわからない。
湖山先生が俺に手を出したりする、それ以前の問題だ。
俺が、逆らわないから…?
逆らえばいいわけ?
アキは?
やばいや…。考えがまとまんない。
「はぁっ…ぁっ…ぅンっっ」
「そこの机に座って」
俺が答える余裕もなく、体を反転させられ、無理やり机に座らされる。
すでに途中まで降ろされていたズボンと下着を足から抜き取られてしまっていた。
「佐渡。テストの結果さえよければ卒業できるとか思ってないよな…?」
「え…」
「こんなに休まれちゃぁ、ちゃんと出てきてるやつに失礼だろ。数学なんて、得意なやつもいれば苦手なやつもいる。授業出てきてもやれないやつもいれば、お前みたいに来なくても出来てしまうやつもいる。テストの結果だけで評価したらかわいそうだろ…?」
授業出てきてもやれないやつってのは、授業をちゃんと聞いてないからだろ…?
ただのこじつけだ。
「今ここで…休んだ分の平常点、稼いでくれれば、単位をあげないこともないよ」
「…どう…いう…」
なんとなくわかるが、それを肯定したくなくって、確かめる。
「…逆に言うなら、このままじゃ、お前はもう1年余分に、ココで勉強することになる」
後輩たちと一緒に…。
それもまたいいかもしれない。
「ずいぶん、落ち着いてるな。また1年、たっぷり、教えてやろうか…?」
この中学には嫌な思い出がありすぎる。
はやく離れたいのは事実だ。
俺に手を出すのは大抵、同級生か先輩だから、その点はいいのだろうけれど、湖山先生に目をつけられた今、あとさらに1年追加で、先生と付き合っていくなんて考えられない。
時が立つにつれて、エスカレートして、湖山先生が、いつほかの先生を誘うかもわかったもんじゃない。
「…どう…すれば…」
もともと、上の立場の人間に逆らうようなことができない性格の俺は、湖山先生に従うしかなかった。
「いい子だ…。机に、足をあげてごらん…」
一方的に無理やりやられるみたいなのが多かったが、こうやって自分からなにかをしてみせるのは初めてで、ものすごい羞恥心にかられる。
「出来ない?」
出来ないと言ったら、どうなるのだろう。
あっさりと、『それじゃぁ、もう1年余分に、がんばって』という返事が返ってきそうで。
俺は、そっと首を横に振り、『出来る』と示し、両方の足を、今自分が座り込んでいる机の上へとあげた。
「もうちょっと、足、開いて」
ただでさえ、机の上の限られたスペースで、すでに広げた状態の足をさらに広げるよう催促する。
俺は、湖山先生の方も見れず、うつむいたまま、足を開いた。
「そう。じゃ、ビデオに撮ってあげるから…ね…?」
「え…」
その言葉に、顔をあげると、すでにビデオを構えた湖山先生がにっこり笑ってこっちを見る。
「佐渡だって証拠が欲しいだろ…? もし先生が今日のこと忘れちゃったら、佐渡にまた、平常点を稼げって言い出すかもしれないし」
撮るなと言えば、これから先、また卒業出来ないと脅しをかけられるかもしれない。
しかし、撮られても、それをネタに脅されるだろうし。
選択権は俺にないのか、すでに、回っている音がかすかにするビデオを構えたまま、湖山先生は、俺に
「シャツのボタン、自分ではずせるね?」
と、丁寧ながらも力強い言葉で命令するように言った。
その言葉に従い、ボタンを上から順にはずしつつも、どうしてこのようなことをしているのかと、疑問が付きまとった。
なんだか逆らえなくて。
どうして逆らえないのかはよくわからない。
俺が弱いから…?
すべてボタンが外れたのを見計らってか、湖山先生はビデオを構えたまま、手にした黒板用の長い定規で、シャツを引っ掛け、前を開いた。
「…っ…」
冷たい定規の感触が胸に触れ、開いたシャツが肩をすべり落ちた。
「ほら…自分で、ココ、いつも一人でするみたいに擦り上げてごらん」
定規の先で、ペニスを突付きながら、催促する。
「ッ…ぅっ」
「それとも、いつも相手がいるから、一人ではしたことないかな」
軽く笑いながらそう言って、俺の右手を定規でペチペチと叩いた。
なるべく湖山先生の方を見ないようにして、右手で自分のモノを包み込み、そっと上下に擦ると、見られているという羞恥心や、逆らえない悔しさからか、涙が溢れそうになった。
「はぁっ…ぁっ…っん…」
「もっと、動かさないとイけないだろ…?」
「っは…ぃっ…ンっ…んっ」
おかしいだろ…?
こんなの。
なんで、やってるんだろう。
「後ろも、欲しくて欲しくてたまらないみたいだね…」
言い当てられて、わけもわからず、次々と涙があふれて来る。
「ひっく…っぅ」
泣き出した俺を見てか、やれやれと言った感じで、少し離れた教卓にビデオを置く。
もちろん、こっちを向けられたままだった。
「いいよ…。しょうがないからとりあえず、君はなにもしなくていい」
後ろに回った湖山先生は、俺の右手をどかすと、上からなにかローションのような物を垂らしていく。
「ひぁっ…あっ…」
少しねっとりした冷たい液体が自分のモノにかかる感覚に、体がビクンと跳ね上がった。
「あまり、声をあげないように…ね。まだ、誰が廊下を通るかわからないから…」
あげたくもないのに声をあげてしまうことに、恥じる。
ぬめりの上から掴まれたソコは、ひどく変な気分にさせられた。
「はぁ…ぁ…あ」
我慢するべきなのに、そんなことも考えられなくて、つい普通に声を出していた。
ぬちゅぬちゅと、濡れた音が響いて、湖山先生の指がたっぷりと濡れてしまうと、そのままアナルへと指を刺し込んだ。
「やぅっ…」
「静かに…。誰か通る」
湖山先生が、空いている左手で俺の口を塞ぐ。
指を動かさないでいてくれれば、俺は声を漏らさずに済むのに、湖山先生は、楽しむかのように、抜き差しを繰りかえした。
「んっ…ンっ…んぅんっ、ンっ」
ペニスに垂らされたローションが竿を伝って、後ろへと流れる。
指が抜き差しされるたびに、中へと入り込んでいくようだった。
「ンっ…んんっ…んーっ」
ローションだけでなく、先端から自分のがあふれてしまっているのがわかった。
「ずいぶん、やらしい子だね。後ろだけでイけそうなんだろ…?」
湖山先生の言うとおりで。
何度も行き来する指先が、感じる内壁の一部を掠めてたまらなくって、そのたびに体がビクンと跳ね上がっていた。
「ンっんっ…ぅんんっ…んっ」
「やっぱ、苦しそうだから、声、出していいよ」
誰か通ると言ったときの人はもう通りすぎたのだろうか。
頭で物事をしっかりと考えてられなかった。
「やっんんっ…あっ…ぁあっ」
俺の口をふさいでいた手を、いったんローションやらで濡れているペニスに絡め、指先を潤わせると、その指先で立ち上がってしまっている胸の突起をゆるゆるとなで始めた。
「ぁっあっ…せん…せっ…ぁっ」
「逆に声、出した方が、みんな気を使って教室に入ってこないかもしれないからね」
少し楽しそうに耳元でそう言ったあと、指を2本に増やした。
「はぁンっ…やっ…ぁっ…あっ」
前立腺にあたる部分を指で突かれ、何度もイってしまうのではないかと錯覚した。
そんな俺を見てなのか、執拗にソコばかりを指で擦ったり刺激を与えてくる。
「やぁあっ…あっ…せんせっ…やぅっやっ…ぁっあっあぁああっっ」
あまりに直接的な刺激に、すぐさまイってしまい、先生の服の袖を汚してしまっていた。
「イクときは、イクってちゃんと言ってくれなきゃ駄目だろ…?」
「…は…ぃ…」
「机から下りなよ」
そう言われたので、従って降りると、後ろからそっと腰を掴まれる。
「…っ…」
「前の机に、手をついて」
手をついた瞬間だった。
突き出すようになってしまっていた腰をさらに後ろへと引き寄せられ、湖山先生の昂ぶった肉棒が秘部に突き付けられた。
「っひっぁ…」
「ずいぶん慣れているんだろう…?」
そうとだけ言うと、双丘を両手で押し開き、待てなかったみたいに、力強く押し入ってきた。
「アっ…くぅンっ」
さっきまで、指が入っていたソコは、太さどうとかの問題でなく受け入れる準備が出来ていたようで、すぐにでも体が感じてしまっていた。
たっぷりとローションが滑り込んでいるせいで、変なぬめりのような感覚があって、それが逆に気持ちいいとさえ感じてきてしまっていた。
「はぁっ…ぁっ…せんせっ」
「気持ちよさそうだな…。イったばっかだというのに、また…」
湖山先生は片方の手を前にまわし、俺の股間のモノを、擦り上げた。
「っぁあんっ…はぁっあっ…」
体中が熱くって。
湖山先生のモノが抜き差しされるたびに、濡れた音が耳につく。
「あっあっ、はぁっ…」
もう、気持ちいいことしか、考えられない。
「気持ちいいのか…?」
そう聞く湖山先生にも無我夢中で頷くばかり。
「ひぁっっぁっあっ…やぁあんっ」
さっき指で突かれた感じる箇所を、何度も突かれ、机についた手が震える。
「あっ…やぅっ…もっ…あっ」
「イク…?」
「イ…クっ…ぁっあっ…もぉっ」
ふいに視線を感じた。
顔を上げると、ドアに取り付けられたのぞき窓からこちらを見る顔が。
ずっと見ていたわけではない。
通りすがりだろう。
歩いている最中、俺と目が合って、慌てて逸らした。
同じクラスの奴だった。
急に羞恥心が高まって、顔をドアとは反対方向に向ける。
「見られて、恥ずかしい…?」
少し笑われて、どうにも答えられない自分がいた。
「はぁっぁっ…やぅっ…ひぁあっくっ」
「イキそうだったんだろ…? ちゃんと言って、イけよ」
喉の奥が痛い。
泣くのを我慢しすぎたみたいだ。
「ひっくっ…ぅっぁっ…イク…っ…ぁっあっ…やぁあっっ」
湖山先生の手の中に欲望を放ってしまい、その直後くらいに、俺の中に湖山先生のソレが流れ込んでくるのを感じた。
「まぁ、また平常点、こうやって稼ぐ気があるなら、授業休んでも俺はかまわないけどね」
冷たく笑って、俺がさっき解いた課題プリントに目を通す。
「教えがいのない奴だ」
なにも言い返すことができない俺を見て、わざとであろう作った笑顔を向ける。
「じゃぁ、また」
また…とか。
先生なのだから、そりゃまだ会うことはあるだろうけど。
そういった意味でなく、またやられるみたいで。
なにも考えられなくなった。
一人、教室に取り残された俺は、ボーっとしばらく窓から外を眺めていた。
それなのに、外が暗くなっていくのに全然気づかず、ドアの開く音でやっと、ソコに長い時間、いたことに気づく。
「なにしてるん…?」
アキだった。
なぜか涙があふれそうで。
「なんでも…。なんで…ココに…」
「うぅん。部活終わって帰ろうと思ったんだけど、下駄箱にまだ啓ちゃんの靴あったし…」
部活って、こんな遅くまでやるもんなんだ…?
7時。
夏だから、それほど暗くはなかったが、それでももう夕焼けという景色は過ぎている時間だった。
「じゃぁ、一緒に帰ろ…?」
アキは何気なく俺をそう誘う。
アキは悪くない。
けれど、原因はアキではないかと思うわけで。
「…ごめん。先、行ってて」
もう、アキとはほとんど一緒に帰っていなかった。
アキとは違う部活だから終了時間も違う。
もっとも、俺はほとんど部活には参加していなかったが。
そんなことは関係なく、俺が精神的にアキを拒んでしまっていた。
「…わかった…」
理由も聞こうとしないアキに、安心もしたが、むかつきもした。
聞かれても困るのに、聞けずに押し黙るアキも嫌で。
俺のためを思ってくれてるのかもしれないけれど、アキのことを、嫌な目で見てしまうようになっていた。
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