だいたい、やり終わったあとにこんな話するなんて、反則だ。
宮原先輩のいいように答えさせられてしまう。



今日はもう終わりなんだと、そう思ったのに、宮原先輩はさっそく縄を取り出して寝転がる俺の体に跨る。

「…先輩っ…ちょっ…」
「ん…?」
「いまから…ですか?」
「駄目? 恐い?」
「…だめってわけじゃ…でも……」
恐いのか不安なのか。それとも興奮しているのか。
鼓動が高鳴る。

「ほら…手、出して」
「あ…今日は、もう無理です」
「終わらないよ?」
俺の両手首に縄を絡めて。
その先を、ベッドへと固定する。

俺はバンザイをした状態。

こんな風に縛らなくても、俺は逃げたりしないし。
宮原先輩に言われるのならば、口だって塞がないのに。

そうは思うけれど、ただ縛られて、動きが少し限定されただけで、無駄にドキドキする。

「…縛られただけで、感じるの…?」
耳元で軽く笑い、俺の股間をさすりあげる。

さっきイったばかりなのに。
硬くなるソコを触って指摘され、恥ずかしさから顔を背けた。

「っ…やめ…てくださ…っ」
「なにを?」
「そういうこと、言うのをです…っ」
「ふぅん…。言われると感じるのに? いやらしい子でしょ…?」
「…別に…」

ついそう言ってしまう俺の耳元に舌を這わしながら、宮原先輩はゆっくりと俺の中に指を挿し込んでいく。
「んっ…ぅんっ…」
「中、ぐちゃぐちゃだね…。わかる…?」
「はぁっ…ンっ」
「…聞いてごらん…? 中で、ぐちゅぐちゅ言ってるから…」
奥まで突っ込んだ指を、大きく動かされて、お腹の中で、濡れた音が響くのがわかる。
「んぅっ!!…あっ…やっ…ぁあっ」
「聞こえる?」
「んっ…あっ…やめっ」
「聞こえるか、聞いてるんだよ?」
少し強めにそう言われ、答えないと怒られそうで恐くなる。
「んっ…やっ…あっっ…聞こえっ」
「ん…?」
「っあっ…聞こえ…ますっ」
「ね…いやらしいね」
前立腺の辺りを探られて。
気持ちよすぎるけれど、1本の指なんかじゃ物足りない。
「はぁっあっ…せんぱいっ…んっ…もぉっ」
「なぁに?」
さっきまで、少しばかり拒もうとしていたのが馬鹿みたいに、求めてしまう。
「いれっ…あんっ…あっ…もっとぉっ…」
「いつも言ってるでしょ…? ちゃぁんと明確に言って」
「っ…もっとっ…太いの、あっ欲しいですっ…」
「ふぅん」
「あんっ…入れてっ…あっもぉっっ…」
にっこり笑って俺を見下ろして。
あいかわらず、指1本の愛撫を続けてくれるだけだ。
涙が溢れた。
いやらしく腰がくねる。
つい、足りない刺激に自分の手で自分のモノを擦りたい衝動に駆られるが、手を縛られていてそれも叶わない。
「いやっ…あっ…もぉっ…あっ…お願…っ」
「お願い?」
「早くっ…やっ…触ってぇっ…らめっ…もぉやあっ…ぃきたいっっ」
「ねぇ、さっきまで拒んでなかった?」
ほら指摘される。
「あっ…だってっ…」
「すーぐ、欲しがっちゃうねぇ、雅紀は。浮気しそうで心配かも」
楽しそうに笑って。
応えれずにいる俺に、答えなんて求めていなかったのか、
「どこをどう触って欲しいの?」
そう聞きながら、空いた手で胸の突起を転がしてくれる。
「ンっ…ぁっ…下っ…」
「言ってくれないと…」
「はぁっあっ…俺のっ…おちんちんっ…あっ…触ってっ擦って…っ」
「…恥ずかしい子だね…雅紀は」
そう言いながらも、指を引き抜いて、その手で俺の股間を擦ってくれる。
「やっ…やあっ…抜かないでっ…」
「言葉が足りないよ」
宮原先輩は俺の言うようにしてくれるけれど、俺が言ってないことに関してはしてくれない。
「あっぁあっ…そのままっ…中、入れてっ…宮原先輩のぉっ…」
「俺の何?」
「はぁっあっ…ぉちんちん…っ中にっあっ入れてぇ…っ」
そう言っても、なにか違うみたいで、宮原先輩が笑顔で首をかしげるのが、涙でぼやけた視界の中、確認できる。
「あっ…いやっ…お願いっ…入れてください…っ」
「どうして?」
「っあっんぅっもぉ、我慢出来なっ…変っ…あっ欲しぃですっ…」
「ふぅん」
「やっ…やあっ…いっちゃう…っやだ…っ…はやくっっ」
「いっちゃうんだ? だったら、いいんじゃない? 俺が雅紀の触って、それで気持ちいいんでしょ?」
もちろん、そんな風に宮原先輩に手で扱かれ続けたら気持ちよくてイってしまうけれど。
そんなんじゃなくって、物足りないような焦らされる感覚。
こんな中途半端な刺激でイかされたくない。
「あっ…ぁあっ…先輩のがっ…あっあんんっ…」
もう言葉にならなくていっぱいいっぱいで涙が次から次へと溢れてくる。
それがわかったのか、
「今日はこの辺で、許しちゃおうかな」
そう俺ににっこり笑ってくれる。

言葉通り、宮原先輩のが押し当てられてほっとする。
ゆっくりと、中に入り込んでくるのを感じ、それだけでイってしまいそうな感覚。
だけれど、我慢して、奥まで入り込んでくれるのを待った。
「はぁっあぁあっ…奥っ」
「奥、好きでしょ」
「好きっ…あんっ…そこっ」
「はいはい」
子供でもあやすようにそう言って、奥まで突き上げて俺の頭を撫でてくれていた。
「雅紀…ホント、君はかわいいねぇ。今、どうなってる? 雅紀の中は」
「あっ…ぁっいっぱいっ…あっ…だめぇ…っ」
「駄目?」
「熱…ぃよぉ…っ…あっ変っ…もぉ…わかんなっ…動いて…くださっ」
「自分で、腰振れる? 聞くまでもなく、振ってくれてるね?」
いやらしく腰がくねる。
下から、宮原先輩のが中で動くように腰を振ってしまっていた。
「はぁっやっ…お願…っ動いて…ぇっ」
物足りない刺激に耐えがたく、頼んでも、いつもみたいに笑ってくれるだけだから。
「あんっあぁあっ…してっしてくださっ…」
「自分で上手く腰振れない?」
「できなっぁああっごめ…なさっ…」
「ちゃんと謝れたね。しょうがないから、特別ね」

ぼやける視界の中、宮原先輩の愉しそうな表情。
俺の腰を掴んで、揺さぶって。
中を小刻みに突き上げてくる。
「ぁっあっ…んぅンっ…はぁっ…あっ」
「すごいね…吸い付いてくる」
「やぁあっ…せんぱっぁあっ…んっ」 俺がものすごく感じるところ、わかってくれてて。 気持ちよくソコばかりを付いてくれる。 「ひぁっあっぁんっあぁあっ、ぃくっ…もぉいくっ」
「いいよ…雅紀、イって?」
「あっぁあっんっあんっ…あぁああっっ」



やばいくらいに気持ちよくて。
本当に放心状態で。

さらけ出しすぎてしまった羞恥心を感じる余裕もなかった。







「大丈夫?」
「はい…」
行為の後、交互にお風呂に入った。
一緒に入ると、またなにかしてしまいそうだからって。
いやではないけれど、さすがに体が辛いかもしれないし。
俺は、それに従った。

ホテルを出て、今日は宮原先輩の家へ。
「雅紀、宿題とか出てる?」
「あ…はい。少しだけ」
「そっか。俺もあるから、一緒にやろう」
まだ、この人と一緒に過ごすのにどうも緊張してしまう。

宿題をやっている最中、携帯のバイブが数回鳴り響いているのを耳にした。
宮原先輩は気付いててあえてなのか、ほっといてくれて。
嬉しいような気もするけれど、少し不安だった。


生徒会室で、宮原先輩を訪ねてきた子。
来るもの拒まずだって。
そりゃ、俺は初め、宮原先輩のところへは行ってない。
宮原先輩の方から来てくれたから、そこら辺、そいつらとは違うのかもしれないけれど。
でも、宮原先輩が俺に飽きたとき。
それでも俺は、たぶん、くっついて。
宮原先輩は、拒まないでいてくれるだろうから。
だとしたら、俺は先輩の心境の変化に気がつけないかもしれないだろ。

恐い。
まだ、付き合いだしたばかりだけれど。
この人と付き合っていく自信みたいなもんって、やっぱり持てないから。

宮原先輩のことを好きな別の先輩のことも恐いし。
だって、その先輩たちは俺なんかよりずっと前から宮原先輩のこと思ってたんだろうし。

それに、宮原先輩は、俺と違って、いろんな人といままで肉体関係を持っていたわけで。
俺は先輩だけだからわからないけれど、すごく下手だったりするのかもしれないし。
ただ、されるがまま、喘いで欲しがって、我侭言って。
そんなんだから。

申し訳ないような不安な気持ちがいっぱい。

苦しいな。
「雅紀、どうした?」
「どうしたって…」
「ん? 全然、手、進んでないから」
宿題の手が止まって、数分経っていたのだろう。
「なんか…ボーっとしちゃって…」
「今日は、疲れたかな。もう寝ようか」
そう言ってくれる。
俺は頷いて、宮原先輩に誘われるがままにベッドへ。

「…宮原先輩は寝ないんですか…?」
「俺はもうちょっと。ね? 先に寝てていいよ」
一緒に寝たいです。
なんて言えるわけもない。

「はい…」
本当に疲れていた俺は、不安な気持ちを抱えたまま、宮原先輩のベッドで一人、眠りについた。