こんな人と。
付き合っていけるわけがない。
会いにこられたら困るのに。

だけれど、ホントはたぶん、来てくれるんじゃないかってどこかで思ってて。
このまま別れてしまうものイヤだと感じてしまう。

あれからもう1週間。

本当に、来ないんだろうか。

桐生に相談すれば、もしかしたら、宮原先輩に会えるかもしれない。
だけれど、俺の方が桐生を利用するみたいなこと、していいはずがない。

そう考えて、いつも時間が過ぎていた。



6時間目の移動教室から、教室へ帰る途中。
偶然にも、宮原先輩が正面から向かってくる。

宮原先輩のクラスも、移動教室だったんだろう。

俺に。
なにか声をかけてくれるんだろうか。
そう思ったが、まるで他人のようにすれ違う。

振り返っても、宮原先輩は、振り返ってくれない。
俺に、気づいてるはずだろうに。


「…ごめん、桐生…。先、行ってて…」
「…雅紀……」
「ごめん…。俺、やっぱり…好きみたい」
「わかってる。俺は、応援してるから」

そう言ってくれた。

俺は、移動中の自分のクラスとは逆らって、宮原先輩を追いかける。

「…っ宮…っんっ…!!」
宮原先輩の名前を呼んで。
呼び止めようとする俺の口を、誰かに塞がれる。

「…静かに…」
そう耳元で告げてから、そっと手を離してくれた。
振り返ると、そこにいたのは水泳部主将の悟先輩だった。
「悟…先輩…?」
「お前、秀一と会う気あるんだ…?」
小さな声で聞いてくる。
秀一…というのは、宮原先輩の名前だ。
「…はい…」
「いま、ここで奴を呼ぶな。目、つけられるぞ」
「目って…」
「お前も、知ってんだろ? あいつがすっげぇ人気あんの。あいつのファンが、どこにまぎれてるかわかんねぇ状態で、気安く呼び止めるな」

そう教えてくれる。
やっぱり、遠い存在なのだと実感していた。

「…雅紀…。俺が、呼んでおいてやるから。今から、生徒会室に行け」
にっこり笑ってそう言ってくれる。
「…悟先輩って…宮原先輩と仲、いいんですか」
「……俺は生徒会の役員なんだよ」

それだけ言って。
悟先輩は、俺をおいて行ってしまう。

迷ってるヒマなんてなかった。

宮原先輩となにをどう話そうだとかも考えていないけれど。
悟先輩が作ってくれた機会を無駄にするわけにも行かないから。

俺は、生徒会室へと向かった。


ノックをすると、中から出てきたのはかわいらしい先輩。
こないだ、宮原先輩と一緒に、水泳部の見学に来ていた人だ。
俺を見てにっこり笑ってくれる。

「雅紀くん? 宮原くんならもうすぐ来ると思います。あ、僕は出てくから。もう少し待ってて」
「…すいません…」
こんな慣れない扱いを受けて。
ものすごい緊張していた。

一人生徒会室に残されて。
しばらくすると、宮原先輩が、入って来た。




「…なに? 雅紀」
「いえ…その…」

生徒会室と言う場所でいざ、向き合うと、やっぱり、俺から来るべきじゃなかったと思えてくる。

やっぱり。
違う世界の人のように思える。

うっとおしいとか思われそうで恐い。


「…俺相手じゃ……イけないんですか…」
ずっと気になっていた。
そう言う俺ににっこり笑って。
「どうしてそんなこと気にするわけ?」

どうして。
俺、関係ないのに。

…好き…だから…?

「…いえ…なんとなく…」
「なんとなく?」
「…借りを作ったみたいで…気が気じゃないです…」
「そう…? じゃあ、イかせてくれる?」

この人をイかせれば、俺は気が済むわけ?
確かに、自分だけイってしまったということも、気にはなる。
だけれど、それより、俺相手じゃ気持ちよくないんだろうかとか、考えてしまう。

宮原先輩に、体を壁へと押し付けられる。
「…雅紀はどうして今日、俺に会いにきてくれた…? 待てなかった?」
「…そういう…わけじゃ…」
「へぇ…」

宮原先輩の手が、俺の股間をズボンの上から撫で上げる。
けど、拒める状況ではなかった。
視線から逃れるように顔を逸らした。

「…やられに来たの…?」
そう言われ。
まるで自分がそういったことを考えてるみたいで。
ものすごく恥ずかしくなる。

「違……」
「じゃあ、なんの用?」

宮原先輩は手を止めて俺から離れると、ソファへと腰掛ける。

「…俺…」
ただ、遊ばれただけなんだ。
真に受けてた自分が馬鹿みたい。
だけれど。
好きになってしまっているから。

「…宮原先輩は、俺相手だと気持ちよくないんですか」
「そんなに気にしてくれるの? 別に、そういうわけじゃないよ。…君が気にすることじゃない」

俺、これ以上、なにを言えばいいんだろう。
もう来ないでくださいって伝えるべきなのか…?

「…宮原先輩は……俺に会いに来る気は、なかったんですか…」
「関わりたくないって、俺を跳ね除けたのは君の方だろう?」
確かにその通りで。

…はじめから、素直にしておけばよかったんだろうか。
「雅紀は、どうしたいの? 気持ちよくなりたいわけ?」
そう言って、まるで誘うように手を伸ばす。
「そういうわけじゃ…ないです」
「……じゃあ、なに?」
「…宮原先輩が…よくわからなくて…」

宮原先輩は、やっとソファから立ち上がって、俺を抱き寄せる。
そのまま、俺と一緒にソファに座って。
崩れかけた体勢のまま、俺は宮原先輩の体を跨いでいた。
「な…あ…」
「俺がイかなかったから、気になるんだろう…? イかせて?」
今度は床に、押し倒される。
上から見下ろされて。
宮原先輩が、片手で自分のシャツのボタンを外していく姿が、ものすごく色っぽかった。

「…もう少ししたら、会いに行くつもりだったよ…? まさか、君の方から来てくれるとはね」
ズボンのチャックが下ろされる。
手が。
下着の中に入り込んで、俺のを掴んで。
久しぶりに他人の手に触れられて、体がビクついた。

「っ……! やめ…」
「いまさら、止めて欲しいとか言うわけ…?」
「俺…、話がしたくて…っ」
「どんな話?」
宮原先輩の手が、上下に動いて擦り上げられると、こっちだって話どころではなくなってしまう。
目が涙で潤っていく。
「んっ…ぅんっ…あっ…」
やばい。
宮原先輩の手、めちゃくちゃ気持ちいい。
流されそう。
「はぁっ…だめっ…あっ…」
「なにが?」
駄目。
これ以上は。

それなのに、宮原先輩はいったん手を離すと、その指を舐め上げながら、俺を見下ろすもんだから。
次の行動が予想されて、ものすごくドキドキしてしまう。
その手が、また、下着の中に入り込んで、入り口に指が触れる。
「あ…入れ…ないでください…っ」
入れられたら、まともに話なんて出来そうにないから。
つい、そう言ってしまっていた。
「…へぇ…」
そう言いながら、唾液でぬめった指が、何度も入り口を擦っていく。
「んっ…ぅんんっ…」
「で。なにを話したいんだって?」
「はぁっ…先輩は…俺のことっ…どう考えて…」
「欲しいと思ってる」
「…そんなの…っ」

ゆっくりと、宮原先輩の指が、入り込んでくる。
「ひぁっ!!?? やめっ…」
奥の方まで入り込んだ指はまったく動かないで。
宮原先輩はただ、俺を見下ろした。
「…話をしにきたんだろう…? 言って?」
あそこが、ヒクついていそうで。
恥ずかしい。
欲しがってしまいそうなのを必死でこらえる。
「あ…っ…俺のこと…っ…本気で…?」
「本気だよ…? ここに、俺の入れちゃいたい…」
そう言われ、反射的にソコを締め付けてしまう。
「あ…っ…」
「どうした…?」
じれったい。
動かして欲しくて。
「んぅっ…」
「泣きそうな顔、してるよ…?」
「っ…やりたい…だけじゃ…っ」
「そんなことはない。雅紀は…? 俺のこと、やるだけの相手だって思ってる?」
そんなつもりはない。
だけれど、したいって思ってしまうから。
「違…います…っ」
否定するけれど、我慢出来ない。
「…ふぅん…。腰がね…いやらしく動いてるよ、雅紀」
「っ!! …違っ…」
「何が違うのかなぁ? たくさん、先走りの液が溢れちゃってるしね」
俺、なんて恥ずかしいんだろう。
言い訳できない。
精神的な涙と、生理的な涙がごちゃまぜになる。
瞬きした瞬間に、溜まっていた涙がが流れた。
「もぉっ…やっ…」
「なに…?」
「あっ…」
駄目。
ねだったりしたら。
俺、やるだけの相手だって、肯定しちゃってるみたいだし。
それなのに、変に腰が動いて。
自分が身動ぎすると、入り込んだ指で中が擦れて。
もっともっと、欲しくなる。
「はぁっあっ…んぅっっ…」
「して欲しいならして欲しいって。言えばいいんだよ…?」
欲しい。
「ぁあっ…宮原せんぱぁ…」
「…どうして欲しい…?」
気持ちいいことして欲しい。
というよりも。
俺、やっぱりこの人が好きだ。
少しほっとかれて、すごく寂しい思いをして。
もう元に戻れないくらい好き。
「…っ…その…っ」
「言ってごらん…? してあげる」
「っ…あっ…やっ」
「…早く言ってくれないかなぁ。抜いちゃうよ?」
だからって。
欲しがったら、俺、ホントにやりたいだけみたいだし。
第一、恋人でもないのに、して欲しいだなんて、言っていいんだろうか。

ゆっくりと、宮原先輩の指が俺から抜けてしまう。
それはそれで、相手にされないみたいで、また涙が溢れた。

「雅紀がちゃんと言わないからだ」
「…だって…欲しがったりしたら…駄目じゃないですか…」
宮原先輩は、そっと俺を起き上がらせてくれて。
「どうして?」
俺の目をジっと見て言った。

「…恋人でもない俺が…そんな風に、求めていいわけでもないし…」
「…じゃあ、俺に悪いと思ってるだけで、雅紀自身は、欲しいんだ…?」
「なっ…」
そうなってしまうのか。
俺。
もう宮原先輩のこと、拒んでない…?
出来ることなら、されてしまいたいって思ってるんだろうか。

「恋人になる…? そしたら、雅紀はたくさん欲しがれる」
「…そんな…」
「なにを迷ってるのかなぁ。…俺のこと、好きだって思ってくれてるんじゃないの?」
バレているんだろう。
もう、自分がこの人を好きだという気持ちは疑いようがなかった。

「…宮原先輩は…いままでいろんな人と付き合ってきてるんですよね…」
「…どうだろう?」
「どうして…別れちゃうんですか」
「…でもね。初めはすっごい好きだって、近づいてくるくせに、俺のこと別に好きじゃないから。ただ、やりたいだけ? 俺じゃなくって気持ちイイこともとめてるだけなんだなぁって、やってる最中とかすっごい伝わるし」
やりたいだけ…?
「…そう…思えちゃうんですか」
「実際、そうだと思うけど?」
「っ…それは…しょうがないです…っ。気持ちいいことしてる最中は、そのことしか考えられなくなることだってあると思うし…っ」
俺、なに宮原先輩の元カレかばってるんだろう。
意味わかんない。
だけれど、宮原先輩は俺を引き寄せて抱きしめてくれる。
俺は、宮原先輩の足を跨ぐような体勢になっていた。
「…雅紀は、どうなの?」
耳元でそう聞かれ。
考えてみる。
「…俺は…っ」
どう答えようか、言いとどまっていると、後ろから、ズボンの中へと手が入り込む。
「なっ…」
下着の中に割り込んで、割れ目に添った指先が、ゆっくりと中に入り込む。
「んぅっ…あっ…あぁああっ…」
「答えて…」
また、指が入り込んだまま。
頭がボーっとする。
「俺は…っ…わかんな…」
「わかんない?」
「…気持ちいいことばっかり考えて求めてしまうかもしれないけど…宮原先輩相手にしか…」
宮原先輩が、俺に口を重ねて。
舌が絡まって。
熱い。

「ん…」
奥まで入った指が、ゆっくりと中で動いていくのがわかった。
「んぅっ…んーっ…」
舌の絡まりあう音が頭の中で響く。
口を離そうとする俺の頭をがっちりと宮原先輩が抑えていた。
「んっ…ぅんっ…ゃっ…んっ…」
何度も重ねなおした口から、唾液が零れ落ち顎を伝う。
恥ずかしい。
こんな激しいキス。
羞恥心からなのか、よくわからず涙が溢れた。


そのときだった。
生徒会室のドアがノックされる音が響く。

俺の後ろ。
ドアが開く。
それなのに、宮原先輩は何事もないみたいに、俺に口を重ねなおして、中の指がゆる
やかに刺激を与えていた。

「んぅっ…ンっ…んっ」
なにも声なんて出したくないのに、鼻から洩れる声はいやらしくて。
恥ずかしくてやめて欲しいのに、宮原先輩は止めてくれない。

「…俺に飽きたから、次はその子なんですか」
後ろから、そう声が響く。
宮原先輩の、元カレかなにかなんだろう。
体が緊張でこわばった。

やっと、宮原先輩は口を解放してくれて、指もゆっくりと引き抜いてくれる。
俺の頭を抱え込むようにして抱き寄せた。

「…飽きたっていうかね。別に、付き合ってたわけじゃないし」
「そうですけど…っ」
「ただ、数回やっただけ。……俺から、君に『好き』とかなにか恋人らしいこと言った? …勘違いさせた?」
「…だって…」
「悪いけど、君だけとしてたわけじゃないし。来る者拒まずなんだよねぇ。来てくれたからやってたの」

宮原先輩は、そっと俺の頭を撫でながらも会話を続けていた。

「…じゃ、その子も、ただ来たからやってるだけの相手ってことですね」
自分が恋人でないことには納得がいったのか、あてつけみたいに今度は、俺へと敵意を示す。
俺にも、ついでに思い知らせようとしているようだった。
「…違うよ」
優しい口調で、そう言って。
顔をあげてしまいそうな俺の頭を、そっと押さえられた。
「…なんですか、それ…。俺は…」
「君は、そう。他のやつらもそう。この子は、俺の恋人だから。一緒にしないでくれるかなぁ」
俺はとりあえず、でしゃばらずにその場を黙って過ごした。

少しの沈黙が続く。
「…悪いけど、出てってくれる? 人に見られてやる趣味があるわけじゃないから」
「なっ…俺のときっ」
「あはは。君のとき? 君の痴態は世間にさらせても、恋人とは違うでしょう」
少しだけ、見下すような言い方をして。
その子は、しょうがなくなのか、走り去るような足音が聞こえ、ドアの閉まる音が響いた。


「宮原…先輩…」
「ん? どうした?」
「…さっきの人…恋人じゃ…」
「聞いてたんじゃないの? あの子はただ来たから相手してただけだって」
そりゃ、聞いてたけど。
「…あの子とだけじゃないって…。そんなに他にもいろいろと相手いるんですか…」
そう言う俺の頭を撫でて。
「…やきもち妬いてくれるの?」
宮原先輩に他に相手がいて。
それがなんとなく不安で、やきもちだと気づかされ、ものすごく恥ずかしく思えた。

「あ…俺も…勘違いとか…」
「どういう勘違い?」
「…なんか…宮原先輩が、俺を好いてくれてるんじゃないかって…」
「それは、勘違いじゃないよ。なんかねぇ。いろんな子が俺のところに来るでしょう? 俺は相手をして。勝手に勘違いして、捨てられたって泣かれて? 来るもの拒まずで無節操に手をだした俺も悪いんだろうけど。困るんだよねぇ、そういうの」

噂ほど、悪い人じゃない…とか。
噂なんて、どう曲がって伝わってるかわかったもんじゃないし。

そりゃ、何度も相手してもらったら、勘違いしてしまうかもしれない。
それで、いい加減、相手にしなくなったときには捨てられたって。
そう思ってしまうのかもしれない。


「…好きとか…言ったんじゃないんですか」
「言ってない。雅紀だけ」
信じていいのかわからなかった。
ただ、少なからず、さっき来たあの子は、好きとか言われてないみたいで。
実際、勘違いしちゃってた子なんだろう。

それに比べたら。
俺は、大丈夫なんだ。
とりあえず、いまの時点では。

「…俺も、飽きたり…」
「セフレじゃあるまいし。そういう対象じゃないだろう」
そう言ってくれる。
「俺…っ」
「さっきは、恋人って言っちゃったけど。追い払うのに使ってごめんね。でも、俺はね、恋人にしたいと思ってる。…雅紀は?」
こんな人と。
噂がどうこじゃなくって。
生徒会だよ…?

俺なんかが…。
だけれど、断れば絶対に後悔するだろう。

「…なりたい…です…」
そう答えた俺を、一気に押したおす。
「なっ…」
「じゃあ、雅紀はいまから俺の恋人だから。なんでも欲しがって」
「…そのために…?」
「そりゃ、雅紀は恋人じゃないから求めれないって言ったけど。別にそのためじゃない。恋人として、欲しがって欲しいと思うわけでしょう。それに前から言い続けてるし。俺は雅紀が欲しいって」
少したくらむような笑みを見せて。

寝転がる俺をおいて立ち上がる。

ドアへと向かい、鍵の閉まる音がした。

緊張が走る。
やる気なんだろう。
さっきまではなんとなく流れで。
鍵を閉めるまでにはいたらなかったのかもしれない。

改めて、鍵をかけられて。
宮原先輩が、俺の上に覆いかぶさるように見下ろす。

「…シャツ…ボタン外して…? 雅紀」
「っ…そんな…」
「…出来るだろう? そのくらい」
耳元で、囁かれ。
少し震えてしまう手で、シャツのボタンをゆっくりと上から外していく。
全部外れて。
見上げると、宮原先輩がにっこりと俺に笑いかける。
「開いて…胸、見せて?」
まるで女の子にでも言うような言い回しで。
恥ずかしくなる。
別に平気なのに、見せるのが恥ずかしくて。
顔を逸らして、ゆっくりと、シャツの前を左右に開いた。

「…緊張してる…?」
宮原先輩が、俺の胸の突起に舌を絡ませ、体がゾクっとする。
「ぁっ…」
何で俺、こんなこと。
「……いずれはココだけでイけるように、調教しないとね…?」
「んぅっ…」
調教という言葉が、なんだか卑猥で、体がビクついた。
俺って、Mなんだろうか。

ズボンと下着を宮原先輩が抜き取っていく。
膝を折り曲げられ、開脚状態。

「…すごい、我慢してた? 溢れてて、ベトベトだよ」
恥ずかしい指摘をされ、涙が溢れる。
そのぬめりを指ですくい取ると、ゆっくりと指を押し入れていった。

「ぁっあぁあっ」
「ここだろう。雅紀のイイところ」
すぐに気持ちいいところを当てられて、軽いピストン運動を繰り返す指の先がソコを擦っていく。
「ぁあっやっ…やぁっあああっ」
「腰、動いてるし」
「んぅっやぁあっ…はぁっ…やぁんっ…」
「…かわいい声、出たね…」
耳元で笑われて、恥ずかしくて涙が止まらない。
「んっ…ぁっぅんっ…」
「…声、我慢しないで…? …って、言わなくてももうちょっとしたら声殺す余裕、なくなっちゃうかな、雅紀は」
そう言って。
少し強めに、中を探っていく。
「ひぁあっ…やめっっ」
「なに?」
「やぁっ…それ…っやっぁあっだめっ…んぅっっ」
「駄目なの?」
「あぁんんっ…ぃくっ…やぁあっ」
「イっていいんだよ。雅紀…いやらしい声、たくさん出して。イって?」
その言葉にも、感じさせられる。
体中がゾクゾクした。
「やぁんっぃくっ…あっいっちゃうっ…やぁっ…やぁあああっっ」

指1本でイかされて。
少し放心状態だった。
なんだかんだで散々焦らされて。
やっと開放できて。
涙で視界はぼやけていた。

「はぁっ……はぁ…」
「気持ちよかった…?」
「…は…い…」
頷く俺の体を起き上がらせ、軽くキスをして。

「…ちょうど、掃除の時間が終わったね。雅紀。STに間に合うように戻ろうか」
そう言われてしまう。
「な…」
確かに、6時間目のあとは掃除で。
そのあとは帰りのSTだ。
掃除は、サボっていてもバレることは少ないが、帰りのSTはすぐ分かってしまう。

「やらないんですか…」
「ん? そうやり急ぐことはないし。先生に目を付けられるのものちのち困るだろう?」
なんだかんだいって、この人は副会長で。
先生に信頼され、真面目だからこそ、行事ごとが生徒会にまかされるのだろう。

「そう残念そうな顔しないで」
「っそういうわけじゃっ…」
そうだけれども。
「…俺…宮原先輩がイってなくて、それが気がかりで来たんです…。俺じゃ……」
「雅紀が駄目とかそういうんじゃないから。今日の部活後。待っててくれる?」
そう言われ、とりあえずその場は収まった。

俺相手に、あまり欲情しないのだろうか。
不安がいっぱいで。
苦しくなってくる。

「夜、俺に付き合って…。たっぷりイかせてもらうから」
耳元で、そう言われ、なんとなく体が熱くなる。
「な…」
「じゃあ、またね」
そう言われ、俺は見送られるようにして、生徒会室を後にした。